室内環境関連の発表内容

室内環境関連発表内容  2011年度〜

●雑誌掲載  ★学会発表  →研究年報等

 

題名をクリックすると簡単な要旨が見られます。研究年報についてはこちらへ

 

【2017年度】

化学物質による室内空気汚染の近年の状況について (都薬雑誌 Vol.39, No.10, pp.22-26)

新築ビルにおける室内空気中2-エチル-1-ヘキサノールの実態調査 -経時変化と低減化についての考察- (クリーンテクノロジー Vol.27, No.10, pp.58-61)

 ●新築ビルにおける室内空気中有機酸類およびアルデヒド類の実態調査 (クリーンテクノロジー Vol.27, No.10, pp.62-65)

居住環境における酢酸及びギ酸の発生源に関する調査 -合板及び接着剤- (室内環境学会)

溶媒抽出法を用いたTVOC測定法の検討 (室内環境学会)

固相吸着/溶媒抽出法を用いたTVOC分析における湿度の影響 (地方衛生研究所全国協議会関東甲信静支部・理化学研究会)

PM2.5中の硫酸アンモニウム分別定量法の開発 (地方衛生研究所全国協議会関東甲信静支部・理化学研究会)

 

【2016年度】

シリコンシーラント由来の2-ブタノンオキシムによる室内空気汚染 (室内環境学会誌 Vol.19, No.2, pp.131-137)

石英繊維フィルターの粒子捕集効率とフタル酸エステル類の粒径分布 (室内環境学会)

新築ビルにおける室内空気中2-エチル-1-ヘキサノールの実態調査 (室内環境学会) →クリーンテクノロジー Vol.27, No.10, pp.58-61

新築ビルにおける室内空気中有機酸類及びアルデヒド類の実態調査 (室内環境学会) →クリーンテクノロジー Vol.27, No.10, pp.62-65

★新築ビル室内空気から検出された化学物質についての調査 (地方衛生研究所全国協議会関東甲信静支部・理化学研究会) →研究年報2016

DNPH誘導体化-HPLC法を用いた空気中アルデヒド類分析において検出された未知物質についての考察 (地方衛生研究所全国協議会関東甲信静支部・理化学研究会) →研究年報2016

空気中揮発性有機化合物の分析法の比較 –固相吸着/溶媒抽出法と固相吸着/加熱脱着法について- (地方衛生研究所全国協議会関東甲信静支部・理化学研究会)

 

【2015年度】

線香等から放出される揮発性有機化合物類、アルデヒド類及び有機酸の調査 (室内環境学会誌 Vol.18, No.1, pp.15-25)

ネオ二コチノイド系殺虫剤の大気中への拡散に及ぼす水分、温湿度及び粒子径物質の影響 (日本臨床医学 Vol.24, No.1, pp.37-47)

居住住宅における室内空気中臭素系難燃剤の粒径別測定 (室内環境学会)

シリコンシーラント由来の化学物質による室内空気汚染について-2-ブタノンオキシムの測定- (室内環境学会) →室内環境学会誌 Vol.19, No.2, pp.131-137

シリコンシーラント由来の化学物質による室内空気汚染について-ヒドロキシルアミンの測定- (室内環境学会)

室内空気中高濃度2-ブタノンオキシムの発生源調査 (地方衛生研究所全国協議会関東甲信静支部・理化学研究会) →室内環境学会誌 Vol.19, No.2, pp.131-137

新築ビル内和室における酢酸の発生源調査 -小型セルを用いた放散量測定- (地方衛生研究所全国協議会関東甲信静支部・理化学研究会)

 

【2014年度】

●副流煙を吸着させた布から放散される化学物質 →研究年報2014

ネオ二コチノイドの揮散に及ぼす粒子状物質、温湿度、水分の影響 (臨床環境医学会) →日本臨床医学 Vol.24, No.1, pp.37-47

室内環境中のネオ二コチノイド系殺虫剤及びトリアゾール系木材保存剤の測定 (室内環境学会) →研究年報2015

線香から放出される化学物質の調査 (室内環境学会) →室内環境学会誌 Vol.18, No.1, pp.15-25

 

【2013年度】

●図書館及び保育園における室内空気中化学物質濃度の実態調査 -アルデヒド類,VOC類及びTVOCについて- →研究年報2013

シロアリ駆除剤由来の室内環境中ネオニコチノイド汚染 ―住宅構造との関連― (臨床環境医学会) →研究年報2015

住宅ハウスダスト中の臭素系難燃剤 (室内環境学会)

布に吸着したたばこ煙に関する実験 ―化学物質分析と消臭スプレーの影響について― (室内環境学会)

環境たばこ煙の吸着及び再放散に関する調査 (日本公衆衛生学会)

線香、お香及び蚊取り線香の煙中揮発性有機化合物(VOC)濃度 (地方衛生研究所全国協議会関東甲信静支部・理化学研究会)

 

【2012年度】

未規制物質による室内空気汚染の現状 (臨床環境医学 第21巻第1号,p57-65)

LC/MS/MSを用いた室内空気中ネオニコチノイド濃度の測定 (日本臨床環境医学会)

室内環境中シロアリ駆除剤の測定 (全国衛生化学技術協議会)

ディーゼル排出ガス中の有機酸濃度測定 (大気環境学会)酸化触媒式DPFの有無によるディーゼル排出ガス中有機酸濃度の比較 研究年報2013

回転式ディスクを用いたニコチン測定用サンプラーの検討 (室内環境学会)

衣類に吸着したたばこ煙の再放散に関する研究 (地方衛生研究所全国協議会関東甲信静支部・理化学研究会)

 

【2011年度】

近年の室内空気汚染問題について:未規制物質による健康リスク (日本リスク研究学会誌 Vol.21,No.2, pp.91-100)

喫煙室及び非喫煙場所における室内空気中たばこ煙由来化学物質濃度の実態調査 (室内環境学会誌 Vol.14, No.1, pp.43-50)

●屋内プールにおける空気中ハロ酢酸類の測定 →研究年報2011

●大気中フラーレンC60の測定 →研究年報2011

オゾンを発生する空気清浄機を用いた室内環境中真菌汚染の抑制に関する研究 (日本公衆衛生学会) 

未規制物質による室内汚染の現状 (日本臨床環境医学会)→臨床環境医学 第21巻第1号,p57-65

スプレー製品から発生する粒子の粒径及び成分の分析 (室内環境学会)→研究年報2014

DNPH誘導体化ーHPLC法を用いたアクロレインの定量に関する研究 (室内環境学会)→研究年報2012

 


 

【要旨】

 

化学物質による室内空気汚染の近年の状況について

 

 1990年代、シックハウス症候群が社会問題となり、国は室内濃度の指針値設定や建築基準法の改定などの対策を行った。その結果、対策が行われた物質については、新築住宅の室内濃度が低下したが、シックハウスは依然として無くなっていない。ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因物質であり、建材については対策が進んでいるが、家具や備品については未だにホルムアルデヒドを放散する製品がある。また、この10年間に新聞等で報道のあった、学校などにおけるシックハウス事例をみると、ほとんどの場合、原因物質が特定されていない。2007年に北海道の小学校で起こった事例では、1-メチル-2-ピロリドン及びテキサノールが原因物質であり、これらは指針値の定められていない未規制の物質である。

 厚生労働省は、現在、「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」で、新たな指針値の設定と既存の指針値の見直しを進めている。こうした動きは今後も継続すると考えられるが、指針値が設定された物質は使用されなくなり、代替の物質へ移行する傾向がある。

 空気中の化学物質の多くは、ヒトには臭気として感じられることから、室内で何らかの不快な臭気がある場合は、積極的な換気を行い、健康で快適な室内環境を維持するよう心掛けることが必要である。

 


 

居住環境における酢酸及びギ酸の発生源に関する調査 -合板及び接着剤-

 

 近年の居住環境における室内空気質のデータを得るため、都内の住宅10軒において、室内空気中化学物質調査を行ったところ、酢酸及びギ酸が比較的高濃度で検出された。発生源を推察するため、合板及び酢酸ビニル樹脂系接着剤からの放散実験を行った。

 その結果、酢酸及びギ酸のそれぞれの最大放散速度は、合板では1,165 µg/m2/h及び133 µg/m2/h、酢酸ビニル樹脂系接着剤では、それぞれ2,947 µg/m2/h及び10.6 µg/m2/hであった。このことから、酢酸及びギ酸は、合板・酢酸ビニル樹脂系接着剤双方が発生源となると考えられた。

 


 

溶媒抽出法を用いたTVOC測定法の検討

固相吸着/溶媒抽出法を用いたTVOC分析における湿度の影響

 

 固相吸着-溶媒抽出-GCMS法(溶媒抽出法)を用いたTVOC測定法について、複数の捕集管を用いた添加回収試験を実施した。捕集管は、ヤシガラ活性炭2種、球状活性炭2種及び樹脂系捕集管(アンバーライトXAD-7)1種の、計5種を用いた。添加回収試験は、各捕集管に標準物質(計44VOC)を添加し、0.1 L/minで24時間、清浄空気を通気した。通気後の捕集管は、二硫化炭素(活性炭系)またはジクロロメタン(樹脂系)で抽出し、GCMS分析を行った。なお、通気に用いた清浄空気は、相対湿度30%、50%及び80%に調整した。

 試験の結果、いずれの捕集管においても、高湿度の条件下では回収率が低下する物質数が増えることが分かった。また、樹脂系捕集管より活性炭系捕集管の方が、回収率が良好な物質数は多いが、なかには、樹脂系捕集管の方が良好な物質が見られた。したがって、多くのVOCを網羅的に測定する方法として、活性炭系捕集管と樹脂系捕集管を併用する方法が考えられた。

 


 

PM2.5中の硫酸アンモニウム分別定量法の開発

 

 PM2.5中の硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)について、現行のイオン成分測定法では、PM2.5の抽出液をイオンクロマトグラフで測定するため、硫酸アンモニウムそのものを定量することは難しい。そこで、本研究では硫酸アンモニウムの分別定量法を検討するとともに、大気中濃度の実態を調査した。

 各種塩のなかから、硫酸アンモニウムのみを分別する方法として、各塩の物理化学的性状を利用した加熱処理条件の検討を行った。複数のアンモニウム塩(硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム)を石英繊維フィルターに添加し加熱した結果、110℃で30分間加熱することで、硝酸アンモニウム及び塩化アンモニウムは消失し、硫酸アンモニウムのみ残存することが分かった。

 この結果から、加熱処理条件は110℃で30分間とし、硫酸アンモニウム濃度については、得られたアンモニウムイオン濃度より硫酸アンモニウムの式量を用いて算出した。

 この方法を用い、当センターの屋上で採取したPM2.5中の硫酸アンモニウム濃度を測定した結果、硫酸アンモニウム濃度は10月:2.5 μg/m3、11月:2.1 μg/m3、12月:1.2 μg/m3であった。

 


 

シリコンシーラント由来の2-ブタノンオキシムによる室内空気汚染

 

 新築ビルの7室(A-G)を対象とし、室内空気中揮発性有機化合物濃度を調査した結果、これまで室内空気からの検出報告が少ない2-ブタノンオキシムについて、A室から高濃度(3,570 µg/m3)で検出された。A室内においては調査前日に洗面台設置工事が行われており、この時使用された建材等が原因となった可能性が考えられた。そこで、発生源調査を行ったところ、洗面台周りのシーリング材塗布面から2-ブタノンオキシム及び2-ブタノン(2-ブタノンオキシムの加水分解生成物)の放散が確認された。したがって、2-ブタノンオキシムの発生源は、工事で使用されたシリコンシーラント由来であると判断された。

 


 

石英繊維フィルターの粒子捕集効率とフタル酸エステル類の粒径分布

 

 空気中のフタル酸エステル類測定法検討のため、6種のサンプラーを用いて、室内で同時にサンプリングを行った。用いたサンプラーは、石英繊維フィルターとODSフィルターを組み合わせたサンプラーが3種、ODSフィルターのみが1種、カートリッジ型サンプラーが2種であった。

 その結果、6種のサンプラーから得られたフタル酸エステル類濃度は、いずれも同程度であった。また、石英繊維及びODSフィルターを組み合わせたサンプラーにおいて、捕集されたフタル酸エステル類の濃度を100とし、石英繊維フィルターで捕集された割合を算出すると、フタル酸ジエチル(DEP)については石英繊維フィルターの種類で違いが見られ、粒子捕集効率の公称値が高い方が、DEPの捕集割合が高かった。一方、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)では、いずれのサンプラーでも、すべてが石英繊維フィルターに捕集されていた。室内空気中フタル酸エステル類の粒径分布を測定したところ、DEHPは、石英繊維フィルターで捕集可能な粒径範囲に分布していることが判明した。  

 


 

新築ビルにおける室内空気中2-エチル-1-ヘキサノールの実態調査

 

 新築ビルの4室(A-D)を対象とし、使用開始前(1月)から使用後15か月(翌年5月)までの約1年半の間、約2か月ごとに室内空気中2-エチル-1-ヘキサノール(2E1H)濃度の測定を行った。

 その結果、4室全てから2E1Hが検出され、A、B及びD室で濃度と室温及び濃度と相対湿度との間で、統計的に有意な正の相関が見られた。同種の床材(カーペット)を使用したA及びB室における2E1H濃度(最大値)は約6倍の差が見られた(A>B)。そこで床材の下の構造を調査したところ、A室では床材をコンクリートに直貼り、B室では床材とコンクリートの間にボードと空間が存在することが分かった。フタル酸ジ-2-エチルヘキシル等の可塑剤を含む床材をコンクリートへ直貼りすることが、2E1Hの生成を促進することから、2E1Hの発生を抑制する対策の一つとして、B室のような二重床構造が有効であると考えられた。

 


 

新築ビルにおける室内空気中有機酸類及びアルデヒド類の実態調査

 

 新築ビル室内7部屋(A-G)及び外気において、計77物質を対象とし、1年間の定期的な空気質調査を行った。その結果、酢酸及びギ酸は7室全てで検出され、年間の検出頻度は100%であった。

 対象の7室のうち、酢酸及びアセトアルデヒドが最高値で検出された部屋A、ギ酸及びホルムアルデヒドが最高値で検出された部屋Bについて、これら4物質の濃度変化及び各物質濃度間の関連を調査した。その結果、4物質の室内濃度は、夏季に上昇し冬季に減少する傾向が見られた。また、部屋A、Bともにホルムアルデヒドと酢酸、ホルムアルデヒドとギ酸及び酢酸とギ酸の濃度間に有意な正の相関が見られた。これら4物質について、各部屋の室内濃度と外気濃度の比(I/O比)を算出した結果、各物質の平均値は3.9~17.5で、いずれの物質についても発生源は室内に存在することが推察された。

 


 

空気中揮発性有機化合物の分析法の比較 –固相吸着/溶媒抽出法と固相吸着/加熱脱着法について-

 

 室内空気中化学物質濃度の指針値については、現在、新たな化学物質についての指針値設定が検討されている。そこで本実験では、今後、指針値が設定される可能性の高い2-エチル-1-ヘキサノール(2E1H)及びナフタレンについて、固相吸着/溶媒抽出法と固相吸着/加熱脱着法の比較を行った。

 溶媒抽出法では、Orbo91(方法A)、Orbo615(方法B)及びチャコール(方法C)の3種の捕集管を、加熱脱着法では、TenaxTA(方法D)及びCarboxen1016(方法E)2種の捕集管を用い、添加回収試験を行った。その結果、方法B、D及びEでは、2E1H及びナフタレンの両物質について、良好な添加回収率が得られた。一方、方法A及びCでは両物質とも添加回収率が40%未満と低かった。

 


 

線香等から放出される揮発性有機化合物類、アルデヒド類及び有機酸の調査

 

 市販の線香12製品について、燃焼時に放出される化学物質を調査した。製品の内訳は、棒状の線香8製品、コーン型のお香2製品及び蚊取線香2製品で、お香は外国製品(インド)、お香以外は国産品であった。

 その結果、検出された化学物質はのべ48物質で、アセトアルデヒド、イソプレン、酢酸、アクロレイン及びベンゼン等の放出量が多かった。調査対象の線香を、容積20 m3、換気回数0.5回/時の室内で1時間燃焼させた後の空気中濃度を推定した結果、主な物質の濃度範囲は、アセトアルデヒドが22~160 μg/m3、アクロレインが5.4~70 μg/m3、ベンゼンが11~77 μg/m3であった。

 


 

ネオ二コチノイド系殺虫剤の大気中への拡散に及ぼす水分、温湿度及び粒子径物質の影響

 

 ネオニコチノイド系殺虫剤は、住宅のシロアリ駆除に使用された場合、床下から拡散し、室内を汚染することが報告されている。そこで、ネオニコチノイドの拡散に水分、温湿度及び粒子状物質が及ぼす影響を調査するため、2つのモデル実験を行った。

 屋外散布のモデル実験では、土壌の代替に石英繊維フィルターを用い、4種のネオニコチノイドを添加して屋外に3日間静置した。その結果、降雨を想定して、フィルターに少量の蒸留水を加えたものでは、薬剤残存率が有意に低下した。床下散布のモデル実験では、薬剤添加フィルターを異なる温湿度条件下に4週間静置したところ、高温乾燥の条件では薬剤残存率が低かった。また、粒子状物質を除去した空気と、除去しない空気で比較したところ、除去しない方が薬剤残存率が低かった。

 したがって、ネオニコチノイドの大気中への拡散は、散布場所の水分の蒸発によって促進され、高温乾燥及び粒子状物質によって促進されると考えられた。

 


 

居住住宅における室内空気中臭素系難燃剤の粒径別測定

 

 臭素系難燃剤は汎用性があることから、電化製品等に広く用いられている。今回は、住宅室内の臭素系難燃剤濃度を把握することを目的として、平成25年度及び平成26年度に、北海道から沖縄までの全国の住宅で、室内空気の調査を行った。調査は、平成25年度は21軒、平成26年度は50軒で行い、空気採取は1軒あたり1室で、主に居間で行った。

 調査対象11物質のうち、平成25年度には6物質、平成26年度には5物質が検出された。検出率が高かったのはトリブロモフェノール(TBPh)で、両年度とも100%であり、次いでヘキサブロモベンゼンの検出率が高かった(平成25年度33%、平成26年度68%)。最も濃度が高かったのは、TBPhで10.8 ng/m3であった。次に、建築様式について情報が得られた住宅について、2年度分の測定結果を戸建住宅と集合住宅に分けてTBPh濃度の中央値を比較した。その結果、戸建(n=45)0.52 ng/m3、集合(n=22)1.1 ng/m3と、集合住宅の方がTBPh濃度が高い傾向がみられた。

 


 

 シリコンシーラント由来の化学物質による室内空気汚染について-ヒドロキシルアミンの測定-

 

 空気中ヒドロキシルアミンの測定法について、ヒドロキシルアミンをアセトンによってアセトオキシムに反応させた後、GC/MSで分析する方法を検討した。

 アセトオキシム化は、インピンジャーを用いる方法と、今回作成したオキシム化カラムを有するサンプリングデバイスを用いる方法を検討し、いずれの方法においても添加回収率は80%以上であった。アセトオキシムの分析については、トリメチルシリル化の有無で比較した結果、トリメチルシリル化した方が、定量下限値は小さくなったが、誘導体化試薬の分解生成物により内部標準物質(ナフタレン-d8)が妨害される可能性があることが分かった。

 


  

新築ビル内和室における酢酸の発生源調査 -小型セルを用いた放散量測定-

 

 新築ビル内和室において、高濃度に検出された酢酸の発生源調査を行った。調査は、畳の上、畳の継目及び板の上に非密閉型の小型セルを設置し、約2.7時間後、セル内に設置した捕集管を回収、分析した。

 その結果、畳の継目からの放散量が最も多く、畳の下に発生源が存在することが示唆された。近年、合板の製造には、酢酸ビニル樹脂系接着剤(酢ビ接着剤)が使われており、硬化した酢ビ接着剤の加水分解により酢酸が発生することが知られている。これらの事から、酢酸の発生は、畳の下の構造合板に使用された酢ビ接着剤が原因と推測された。

  


 

ネオ二コチノイドの揮散に及ぼす粒子状物質、温湿度、水分の影響

 

 ネオニコチノイド系殺虫剤は農薬の他、住宅のシロアリ駆除剤として多用されている。蒸気圧が極めて低いことから、ほとんど揮散しないと考えられているが、その詳細については明らかになっていない。そこで、ネオニコチノイド系殺虫剤の揮散に及ぼす粒子状物質、温湿度及び水分の影響について検討した。

 土壌の代替として石英繊維フィルターを用いてモデル実験を行った結果では、ネオニコチノイドの大気中への揮散は、粒子状物質及び高温乾燥条件によって促進されることがわかった。また、薬剤散布場所に水分が含まれている場合、水分の蒸発に伴って、ネオニコチノイドの揮散が促進されることがわかった。

 


 

室内環境中のネオ二コチノイド系殺虫剤及びトリアゾール系木材保存剤の測定

 

 近年、揮発性の低いネオニコチノイド系殺虫剤(以下ネオニコチノイド)がシロアリ駆除に多用されている。シロアリ駆除剤には殺虫剤以外に木材保存剤が配合されており、ネオニコチノイドとの組み合わせでは、トリアゾール系のシプロコナゾールが多く用いられている。そこで、これらの薬剤による室内環境中の汚染状況を把握することを目的として測定法を確立し、住宅の調査を行った。

 調査した5軒の住宅では、3軒はイミダクロプリド、2軒はクロチアニジンを使用していた。室内空気では、イミダクロプリドによる駆除を行った住宅3軒中1軒、クロチアニジンによる処理を行った住宅2軒中2軒で、それぞれが使用したネオニコチノイドが検出された。また、シプロコナゾールは5軒中2軒の室内空気から検出された。ハウスダストでは、すべての住宅からネオニコチニノイドが検出され、シプロコナゾールは5軒中4軒から検出された。これらの薬剤は蒸気圧が低いが、床下から室内に侵入し、室内を汚染している現状が明らかとなった。

 


 

線香から放出される化学物質の調査

 

 市販の棒状線香8製品について、燃焼時に放出される化学物質を調査した。製品会社は全て国内メーカーで、5製品は仏壇用、3製品はお墓参り等の屋外用であった。

 その結果、大気中及び室内空気中の基準値等が設定されている物質(ベンゼン、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド等)を含む48物質が検出された。同一銘柄で煙の量(製品に表示)が異なる製品の化学物質放出量を比較した結果、煙の量が少ない製品の方が放出量は少なく、特にホルムアルデヒド及び酢酸の減少率が大きかった。

 


 

シロアリ駆除剤由来の室内環境中ネオニコチノイド汚染 ―住宅構造との関連―

 

 ネオニコチノイド系殺虫剤(以下、ネオニコチノイド)を有効成分とするシロアリ駆除剤は、低臭で長期間有効な薬剤として、近年多用されている。しかし、それらの薬剤による室内汚染については報告が少ない。そこで本研究では、ネオニコチノイドを用いてシロアリ駆除を行った2軒の木造住宅において、室内空気中及びハウスダスト中のネオニコチノイド濃度を測定し、住宅構造との関連について考察を行った。調査を行った住宅の概要は、住宅A:クロチアニジン使用、2012年3月調査(薬剤散布後3年7ヵ月経過)、外張り断熱工法、住宅B:イミダクロプリド使用、2012年7月調査 (薬剤散布後6ヶ月経過)、在来工法であった。

 調査の結果、住宅Aでは、床下空気(3.1 ng/m3)、室内空気(0.66~1.1 ng/m3)及びハウスダスト(0.16~0.31 μg/g)からクロチアニジンが検出された。住宅Bでは、床下空気(0.81 ng/m3)及びハウスダスト(0.035~0.036 ng/g)からイミダクロプリドが検出されたが、室内空気からは検出されなかった。2軒の住宅について、床下と1階の空気中濃度を比較すると、住宅Aでは1階空気/床下空気の濃度比が0.35であったのに対し、住宅Bでは0.01以下であった。

 この違いの原因としては、住宅構造の違いが考えられ、住宅Aは外張り断熱工法の家で、外壁と内壁の間に通気層があることから、通気層を通って、床下に散布されたネオニコチノイドが室内に侵入しやすいものと推察された。

 


 

住宅ハウスダスト中の臭素系難燃剤

 

 難燃剤は家電製品、繊維製品、建材等の難燃化に広く用いられているが、臭素系難燃剤のヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)は、2013年7月に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」の第一種特定化学物質に指定された。そこで本研究では、主な臭素系難燃剤11種について、住宅のハウスダスト濃度を測定し、HBCD濃度が最も高かった住宅において発生源調査を行った。

 ハウスダストの測定では、デカブロモジフェニルエーテル(BDE-209)の検出率が100%、次いでHBCDの検出率が75%と高く、濃度中央値はそれぞれ0.18 μg/g、0.17 μg/gであった。また、濃度最大値はBDE-209が2.5 μg/g、HBCDが24.7 μg/gであり、これら2物質の最大値は同じ住宅で検出された。そこで当該住宅において、発生源調査を行ったところBDE-209はビニルレザー製のソファ、HBCDはカーテンが主な発生源であることが判明した。 

 


 

布に吸着したたばこ煙に関する実験 ―化学物質分析と消臭スプレーの影響について―

 

 三次喫煙に起因する有害物質の暴露低減法を検討するための基礎的実験として、環境たばこ煙を吸着させた布(衣類を想定)から再放散される化学物質について、消臭スプレーの影響を調査した。消臭スプレーは衣類用の3製品を用い、使用方法に従って副流煙を吸着させる前または吸着させた後の布(約20×30 cm、ウール地)にスプレーした。布はチャンバーに入れ、副流煙を約20分間吸着させた後、空気採取用バッグに移し、乾燥空気約20Lを封入、約2時間室温で放置し、バッグ内空気を採取して分析を行った。

 分析の結果、主に検出されたのは20物質で、20物質濃度合計値は、消臭スプレーを使用しない対照と比べ、スプレーを使用した場合では1/2~2倍となり、製品によって違いが見られた。ニコチン濃度については全ての場合で対照よりも低くなった。

 


 

環境たばこ煙の吸着及び再放散に関する調査

 

 三次喫煙の実態を調査するための基礎的実験として、環境たばこ煙を吸着させた布(衣類を想定)から再放散される化学物質についての調査を行った。素材及び表面形状の異なる布12種類を対象とし、チャンバー内で副流煙を約20分間吸着させた後、吸着させた布を別の空気採取用バッグに移し、乾燥空気約20Lを封入、1~2時間室温で放置させ、バッグ内空気を採取・分析した。

 分析の結果、主に検出されたのは、ニコチン、3-エテニルピリジンの他、アルデヒド類10物質及びVOC類11物質の合計23物質で、検出物質数が多かったのはフェイクファー及びタオル地の布で(20物質)、最も少なかったのはシルク(3物質)であった。シルクは23物質濃度合計値も最小で、最大を示したフェイクファーの約1/22であった。

 


 

線香、お香及び蚊取り線香の煙中揮発性有機化合物(VOC)濃度

 

 シックハウス症候群に関連する化学物質の発生源として、建材や家具が知られているが、その他には日用品の寄与があげられる。線香は室内で使用される日用品のひとつであるが、燃焼時に発生する化学物質については報告が少ない。そこで、今回は線香、お香及び蚊取り線香の燃焼時に放出される揮発性有機化合物について調査した。試料は、棒状の線香は杉線香3製品とタブ線香3製品、円錐形のお香2製品及び渦巻き状の蚊取り線香2製品の計10製品を用いた。各試料に火をつけてガラス筒内で燃やし、空気を送って煙をテドラーバッグに採取した。次にテドラーバッグ内の煙を捕集管に採取して、GC/MSにより分析した。

 試料1gあたりから、燃焼によって放出された揮発性有機化合物の総量は、蚊取り線香が最も多く(25.2 mg/g)、円錐形お香(5.4 mg/g)が最も少なかった。各試料から共通して放出された物質は酢酸、イソプレン、2-メチルフラン、ベンゼン等であった。ベンゼンは発ガン物質であり、環境基準(3 μg/m3)が定められていることから、線香を室内で1時間燃焼させた後の室内ベンゼン濃度を推計した。大気中ベンゼン濃度を1.1 μg/m3とし、6畳の部屋を想定して計算した結果、室内濃度は5.4~31.3 μg/m3となり、いずれも環境基準を超える結果であった。そのため線香、お香、蚊取り線香を使用する際は、なるべく短時間に抑え、使用後の十分な換気が必要と考えられた。

 


 

LC/MS/MSを用いた室内空気中ネオニコチノイド濃度の測定

 

 有機リン系殺虫剤のクロルピリホスはシロアリ駆除剤として多用されてきた。しかし、床下から揮発して室内を汚染し、子どもの神経発達への影響が大きいことから、平成14年に使用が禁止された。その後、使用されている代替の殺虫剤については、室内の実態について、ほとんど報告がない。そこで、代替として多用されるようになったネオニコチノイド系殺虫剤のうち、シロアリ駆除に広く使用されているイミダクロプリドについて、空気中濃度の測定法を検討した。

 イミダクロプリドは蒸気圧が低く、空気中濃度が低いと予想されることから、空気の捕集には、空気を多量に採取できる直径47 mmのフィルタータイプのものを用いることとし、材質の異なる4種のフィルター(石英、オクタデシルシリル化シリカゲル、スチレンジビニルベンゼン等)を用いて検討した。分析機器にはLC/MS/MSを用い、ポジティブイオンモードにより、測定イオン(m/z)を257/210とすることにより、高感度分析が可能であった(検出下限値:0.3 ng/mL)。空気採取では、機材の持ち運びが容易な小型軽量のミニポンプを用い、空気採取後のフィルターは、メタノールによる超音波抽出後、窒素気流下で濃縮した。

 回収率を求めるため、4種フィルターにイミダクロプリドを50 ng添加し、室内空気を流速3L/分で3日間通気した(空気量:約13 m3)。その結果、石英フィルターの回収率が最も良好であり(83%)、本方法による空気中イミダクロプリドの定量下限値は20 pg/m3と求められた。

 


  

室内環境中シロアリ駆除剤の測定

 

 近年、シロアリ駆除剤として多用されているネオニコチノイド系殺虫剤について、空気中濃度及びハウスダスト中濃度の測定法を検討し、2軒の住宅について調査を行った。シロアリ駆除剤として登録されているネオニコチノイド系殺虫剤5種及び木材防腐剤1種を測定対象として検討を行った。室内空気は、直径47 mmの石英フィルターを用い、流速3L/分で3日間採取した。また、ハウスダストは掃除機にアダプターを接続し、床ダストを採取した。

 調査を行った2軒の住宅はいずれも木造一戸建で、住宅Aは築後3年7ヶ月(新築時に薬剤処理)、住宅Bは築後17年(リフォーム時に薬剤処理、処理後1ヵ月及び6ヶ月に調査実施)であった。分析機器にLC/MS/MSを用いることにより、定量下限値は空気中濃度:5.0~60 pg/m3、ハウスダスト中濃度:2.0~20 ng/gと、低濃度までの測定が可能であった。測定対象物質の回収率は、空気:84.2~90.9%、ハウスダスト:66.4~87.5%であった。

 住宅から検出されたネオニコチノイド系殺虫剤は、住宅Aではクロチアニジン、住宅Bではイミダクロプリドであった。住宅Aでは室内空気及びハウスダストの両方からクロチアニジンが検出されたのに対し、住宅Bでは、ハウスダストのみからイミダクロプリドが検出された。また、住宅Bの薬剤処理後1ヵ月の測定では、ハウスダスト中のイミダクロプリド濃度は98,900 ng/gと高濃度であったが、処理6ヶ月後では36.2 ng/gに低下していた。

 


 

ディーゼル排出ガス中の有機酸濃度測定

 

 小型ディーゼルエンジンについて、ディーゼル排気粒子除去装置(Diesel Particulate Filter DPF)装着による排出ガス成分の変化を調査した。また、2台のディーゼル車について排出ガス成分の調査を行った。

 測定対象物質は、有機酸を含む揮発性有機化合物83物質であった。小型エンジンの型式は、NFAD-50-EX(ヤンマー製)で、排気量は309 cc、エンジンに装着したDPFはODP-SO6型(オーデン製)で、酸化触媒式であった。また、実験に使用した2台のディーゼル車は、製造元は異なるが、いずれも最大積載量2 t、総排気量約3,000 ccのトラックで、連続再生式 DPF(酸化触媒式)を装着し、平成17年度新長期規制適合車であった。ディーゼル車の排出ガス採取は大型シャーシダイナモメータを使って行い、走行条件は最大積載量の1/2の貨物を積み40 km/hの定速とした。

 測定の結果、小型エンジンではDPF非装着でアルデヒド類が最も多かったのに対し、DPF装着では有機酸類が最も多かった。また、2台のディーゼル車では、有機酸類の排出量が最も多く、測定対象物質合計の60%以上を占めていた。ディーゼル車の排出ガスについてはDPF装着によりアルデヒド類が減少することが報告されているが、有機酸類についてのデータはほとんど示されていない。今回の結果より、ディーゼルエンジンにおいては、酸化触媒により排出ガス中の成分が酸化され、有機酸濃度が増加することが明らかとなった。

 


 

回転式ディスクを用いたニコチン測定用サンプラーの検討

 

 環境たばこ煙(ETS: Environmental Tobacco Smoke)は、肺ガン、心筋梗塞、喘息などのリスクを増加させる因子として知られており、ETSへの曝露指標としてニコチンは有用である。そこで、ニコチンの検出力が高く、24時間の個人曝露量測定に使用可能なデバイスとして、回転式ディスクを用いた新たなサンプラーを検討した。用いた装置にはモーターが組み込まれており、電源は単4乾電池2本(直列)で、直径47 mmの吸着ディスクが回転する仕組みとなっている。

 まず、安定した回転数を得るために、電源としてアルカリ乾電池及びニッケル水素充電池(eneloop)について検討した。次に、吸着ディスクとして、スチレンジビニルベンゼン共重合体樹脂から成る、SDB-XD及びSDB-XCを比較検討した。更にビニルボックス中でタバコの副流煙を発生させ、アクティブ法と回転式ディスク法とで同時に空気採取を行い、ニコチン及び3-エテニルピリジン(3-EP)について、両者の結果を比較した。

 電源は、eneloopを用いた場合、24時間の測定中、安定した回転数が得られることがわかった。吸着ディスクについては、SDB-XDを0.1 M 水酸化カリウム/エタノール溶液で処理した場合、ニコチン及び3-EPの回収率が最も良好であった(ニコチン 76.9±3.3%、3-EP 82.3±0.87%)。アクティブ法との同時採取では、アクティブ法で求められた空気中濃度とディスクへの吸着量との間に、良好な直線性が認められ、回転式ディスク法における各物質のサンプリングレートは、ニコチン 2.24 L/min、3-EP 1.03 L/minと求められた。本装置は、小型軽量で携帯に便利なことから、24時間の個人曝露量測定に有用と考えられる。

 


 

 衣類に吸着したたばこ煙の再放散に関する研究

 

 受動喫煙については、副流煙等が原因となる二次喫煙の他、喫煙者や喫煙場所に付着(残留)したたばこ煙由来物質及び残留中に変化した物質が原因と考えられる三次喫煙がある。本研究では、三次喫煙の実態を調査し、有害物質の暴露低減法を検討するための基礎的実験として、環境たばこ煙を吸着させた布(衣類を想定)から再放散される化学物質についての調査を行った。

 方法は、副流煙を充填させたチャンバー及び呼出煙を吹き込んだ空気採取用バッグの中に、約20×30cmの布(タオル地)を入れ、20分間たばこ煙を吸着させた後、吸着させた布を別のバッグに移し、乾燥空気約20Lを封入、1~2時間室温で放置させ、バッグ内空気を採取・分析を行った。

 分析の結果、主に検出されたのは、たばこ煙に特異的なニコチンとその熱分解物である3-エテニルピリジン、アルデヒド類7物質及びVOC類11物質の合計20物質で、ホルムアルデヒド、1,3-ブタジエン及びベンゼンのような有害物質も検出された。

 なお、本研究における呼出煙とは、喫煙中に喫煙者から吐き出された、たばこ煙を含む呼気を示した。

 


 

 近年の室内空気汚染問題について:未規制物質による健康リスク

 

 厚生労働省が13物質について室内濃度の指針値を設けた後、トルエン、ホルムアルデヒド等、指針値設定物質の室内濃度は低下した。しかし、代替として、メチルシクロヘキサン、ジクロロメタン、アセトン等、多種類の未規制物質が建材に使用されるようになり、それらが室内から高濃度で検出される事例があった。

 近年の新築建築物では、未規制物質の濃度が高い場合があり、室内空気中の化学物質による健康リスクは依然として存在している。快適な居住環境を確保し、化学物質による健康リスクを低減するためには、未規制物質を含めた化学物質総量の低減化に向けた対策が必要と考える。  

 


 

 オゾンを発生する空気清浄機を用いた室内環境中真菌汚染の抑制に関する研究

 

 オゾンを発生する空気清浄機を用いた低濃度オゾンによる真菌汚染の抑制効果を検討した。

 オゾン濃度は時平均0.1 ppm及び0.2 ppmとし、1日1時間、室内用カビセンサー及び目視用カビセンサーに暴露させた。

 その結果、ユーロチウム及びアスペルギルスにおいて、菌糸の成長抑制効果が見られた。また、クラドスポリウムについては、0.2 ppm暴露条件において、0.1 ppm暴露時よりも胞子の形成が遅れることが分かった。 

 


 

 未規制物質による室内汚染の現状

 

 最近のシックハウスについて調査を行ったところ、その原因は従来のホルムアルデヒド等の指針値設定物質に代わり新たに使用されるようになった未規制物質が主な原因であった。そのため、近年の論文データを用いて未規制物質の曝露量評価を行った。

 2005年~2010年に報告された室内空気に関する論文より、新築の建築物から検出され、最大値が400 μg/m3を超えた主な未規制物質について、最小影響濃度(Lowest Concentration of Interest:LCI)を基準として評価を行った。その結果、濃度最大値/LCI比が最も大きかったのは、フェノール(33.6)、次いで2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール(14.4)、α-ピネン(12.6)の順であった。

 近年、新築の建築物における指針値設定物質の濃度は低下したが、現在でも未規制物質によるシックハウスは発生しており、これらのリスク低減のためには、未規制物質を含めた化学物質総量の低減化に向けた対策が必要と考えられた。

 


 

 スプレー製品から発生する粒子の粒径及び成分の分析

 

 スプレーを室内で使用すると多くの粒子が発生するが、粒子の粒径および成分についてはほとんど情報がない。そこでスプレーから発生する粒子の粒径及び成分について粒径別の分布を調査した。

 トイレ消臭スプレー、化粧水スプレー、制汗スプレー、日焼け止めスプレーを調べたところ、粒子の大部分は粒径0.3 μm以下の極微小な粒子であった。成分の調査においては、金属は粒径1 μm以上の粒子に多く分布し、粒子数の多い粒径0.3 μm以下の粒子では炭素、酸素、ケイ素等を含む液体(オイル)、水および液化石油ガス(LPG)等が主な成分と考えられた。

 


 

DNPH誘導体化ーHPLC法を用いたアクロレインの定量に関する研究

 

 DNPH誘導体化/HPLC法による空気中アクロレインの定量は、回収率が低いために正確な結果を得ることが困難である。回収率低下の一因は、捕集管に空気を採取してから溶出するまでの保存時間が長くなる程、アクロレイン1分子にDNPH1分子が結合した標準的なアクロレイン誘導体の量が減少し、それ以外の誘導体が生成するためと報告されている。そこで、アクロレインの回収率を改善するための方法を検討した。

 対象空気をDNPH誘導体化用捕集管に採取し、アセトニトリルでアクロレイン誘導体を溶出させた後、溶出液1 mLに42.5%リン酸水溶液を0.1 mL添加し、65°Cで15時間反応させ、HPLCで分析した。対照として、DNPH誘導体化法よりもアクロレインの回収率が良好なCNET誘導体化法による測定値を用いた。

 酸処理を行った結果、標準的なアクロレイン誘導体のピーク高が増加するとともに、それ以外の誘導体のピーク高が減少した。また、捕集管の保存日数に係わらず、アクロレイン濃度は対照と近い値が得られた。

 


  

 アルカリ処理カートリッジを用いた3-エテニルピリジン及びニコチン測定法と測定例

 

 喫煙マーカーの高感度測定法として、アルカリ処理カートリッジを用いた空気中3-エテニルピリジン(3-EP)及びニコチン測定法を検討した。また、確立した方法を用いて喫煙室等における測定を行った。

 確立した方法で12時間の空気採取を行った結果、3-EP及びニコチンの回収率は80%以上と良好であった。喫煙室における測定では、3-EP濃度は0.85~5.4 μg/m3、ニコチン濃度は6.0~34.1 μg/m3で、3-EP/ニコチン比は0.14±0.03であった。3-EPとニコチンの濃度には高い相関が認められた(r=0.940)。次に3-EP及びニコチンの経時変化を調査するため、副流煙をテドラーバッグに採取し、4時間後まで調査した。バッグ内の空気を測定した結果、3-EP/ニコチン比は、採取直後で0.13、4時間後で1.02と、時間の経過とともに急増した。空気測定と同時にテドラーバッグフィルムへの吸着量を調べたところ、フィルムへの吸着は3-EPよりもニコチンの方が顕著であり、テドラーバッグ内空気の3-EP/ニコチン比の増加は、主として吸着による空気中ニコチンの濃度減少に起因するものと考えられた。

 


 

室内プールにおける消毒副生成物35種の空気中濃度

 

 室内プールにおける空気中消毒副生成物の実態をより広く把握するため、水道水質基準、管理目標、暫定基準で規制が設けられている物質を中心に測定方法を検討し、確立した測定方法を用いて、屋内プールにおける調査を行った。

 屋内プール3ヵ所における空気中及びプール水中の消毒副生成物調査の結果、空気中で3ヵ所の平均値が高かったのは、クロロホルム(108 μg/m3)、抱水クロラール(23.2μg/m3)、ブロモジクロロメタン(12.8 μg/m3)であった。一方、同時に行ったプール水の調査では、トリクロロ酢酸(0.100 mg/L)、抱水クロラール(0.052 mg/L)、ジクロロ酢酸(0.024 mg/L)の順に濃度が高かった。

 調査結果をもとに、屋内プールの監視業務従事者について消毒副生成物の暴露量を算出した。潜在時間8時間あたりの呼吸量を10 m3、体重50kgと仮定した。その結果、空気由来暴露量がTDIを超える物質はクロロホルム及び抱水クロラールと推定され、空気中の抱水クロラールによる暴露の状況が初めて明らかになった。

 


  

室内環境調査に求められる測定技術ー実態調査から見る現状ー

 

 現在、シックハウス原因物質の特定には広範囲の物質を測定する技術が不可欠となっている。そこで、近年のシックハウス問題に対応するために必要と考えられる測定技術について、調査事例を例に述べる。

 2007年ににおいの苦情があった新築住宅でのVOCsのGC/MS測定結果では、メチルシクロヘキサンのほか、トリメチルベンゼン等、1 mg/m3前後の高濃度物質が多数検出された。測定は、捕集管に活性炭系吸着剤(Carbotrap 317、スペルコ製)を用い、空気採取後は加熱脱着装置(ATD-400、パーキンエルマー製)によりGC/MSに導入し、SCANモードで分析した。近年の新築住宅では、室内濃度の指針値が示されていない物質が高濃度に検出される傾向にあるため、分析モードをSCANとすることで、その後の対策に役立つ物質情報が得られることが多い。

 


  

理・美容室における揮発性有機化合物及び環状シロキサン濃度の調査 

 

 シャンプー、スプレー、消毒剤等、多くの揮発性有機化合物(VOCs)を含む製品を日常的に使用している美容室及び理容室において、営業時間中の室内空気中VOCs濃度を調査した。

 結果、室内空気中化学物質濃度の中央値はエタノールが最も高く、2,000 μg/m3以上であった。次いでブタン、アセトン、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、2-プロパノールが高かった。発生源調査では、エタノールは消毒剤や化粧品に由来し、ブタンはヘアスプレーの噴射剤に由来したと考えられた。D5は「シクロペンタシロキサン」「シクロメチコン」と記載され、髪に光沢感、さらさら感を与える成分としてリンスやコンディショナー等に配合されている。したがって、D5を含有する製品の使用が発生源と推察された。

 


 

大気中ナノ粒子の季節変動及び日内変動

 

 粒径7 nm〜10 μmの大気浮遊粒子濃度を1年間測定し,季節変動及び日内変動について解析を行った.

 粒径別に個数濃度を比較すると,年間を通して100 nm以下のナノ粒子の占める割合が最も高かった.季節変動では,冬期にナノ粒子の個数濃度が増加する傾向が見られた.

 日内変動については,夏期には午後1時頃に最も高く,夜間に低くなる傾向を示し,冬期には午前9時頃と午後9時頃に個数濃度が高くなる2峰性の変動が観察された.夏期の日中に増加するナノ粒子はオキシダント濃度と正の相関があることから,光化学スモッグの発生と関連があると考えられた.これに対して,冬期に増加するナノ粒子は,自動車排ガスに含まれるエンジンオイルに由来するとの報告があることから,冬期の日内変動は,朝夕の凪の時間に排ガスの拡散が弱まり,2峰性の変動を示すものと考えられた.

  


 

大気浮遊粒子中の粒径別(7nm〜10μm)金属濃度

 

 粒径7 nm〜10 μmの大気浮遊粒子を12ステージに分けて1年間採取し,各ステージ毎に18種の金属を分析し,粒径別の金属濃度を調査した.

 粒径別の金属分布については,マグネシウム,カルシウム,鉄等については,主に1 μm以上の粒子で検出され,粒径が大きくなるにしたがって金属濃度が増加した.一方,鉛,カドミウム,ヒ素等については300 nm付近の粒子で最も濃度が高かった.

 またナノ粒子中からはチタン,クロム,モリブデン等が検出された.粒径の大きい粒子において濃度が高かった金属種については,土壌由来の可能性が考えられた.また,粒径300 nm付近で高濃度を示した金属種(鉛,カドミウム,ヒ素等)については,主にごみ焼却起源との報告があることから,大気中に放出されるごみ焼却ばいじんが300 nm付近の粒径であることが示唆された.

  


 

住宅室内ハウスダスト中の可塑剤、難燃剤濃度

 

 住宅の居間室内でハウスダストを採取し,ダスト中に含まれる可塑剤,難燃剤の濃度を調査した.住宅室内のハウスダストは2006年9月〜12月に全国6地域(札幌,福島,名古屋,大阪,岡山,北九州)において採取した(n=182).採取にあたっては,床上から採取したものを「床ダスト」,床上35cm以上の家具,棚,電化製品の上から採取したものを「棚ダスト」とした.ハウスダストから検出された物質のうち中央値が高かったのは,フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(床:763 μg/g,棚:854 μg/g),リン酸トリス(ブトキシエチル)(床:497 μg/g,棚111 μg/g),フタル酸ジイソノニル(床:95.0 μg/g,棚:91.5 μg/g)であった.このうちリン酸トリス(ブトキシエチル)では,棚よりも床の濃度が有意に高く,この原因として本薬剤が主に床ワックスに可塑剤として配合されていることが考えられた.

  


 

木造新築住宅における揮発性有機化合物及びアルデヒド類の発生源調査

 

 床施工に酢酸ビニル樹脂系接着剤(酢ビ接着剤)を使用したある木造新築住宅において,室内の揮発性有機化合物(VOC),アルデヒド類を測定し,高濃度で検出された物質について発生源調査を行った.

 測定の結果,室内濃度が高かったのは,アセトアルデヒド,ヘキサナール,ノナナール,酢酸,アセトン,テルペン類,パラジクロロベンゼンであった.これらのうち,アセトアルデヒド及びパラジクロロベンゼンは,厚生労働省の指針値を超えており,発生源調査を行ったところ,パラジクロロベンゼンを除き床下が共通の発生場所であると考えられた.そこで床施工に使用された酢ビ接着剤を調査したところ,硬化後,加湿により,主に酢酸,アセトアルデヒド,アセトン,酢酸ビニルモノマーを発生することがわかった.

 


 

携帯用空気清浄機使用時のオゾン濃度測定

 

 首から掛けて使用するタイプの携帯型空気清浄機について,呼吸域付近(吹出し口から20cm)及び吹出し口傍(吹出し口から2cm)におけるオゾン濃度を測定した.

 4機種について,換気条件を変え,稼働時と非稼働時の濃度を測定した結果,閉鎖的な環境において,稼働時濃度が非稼働時に比べて最大で約70 ppb高く,呼吸域付近の濃度が100 ppbを超える機種が見られた.また,吹出し口傍では最大で約200 ppbになる機種もあった.

 100 ppbを超えるオゾンガスに8時間以上暴露されると呼吸器に刺激を生じる可能性があることから,使用法に注意する必要があることが分かった.

 


 

喫煙室およびその周辺における室内空気中たばこ関連化学物質濃度の実態調査

 

 健康増進法第25条「受動喫煙の防止」が施行されてから2年後,H17〜18年に都内のオフィスビル26施設の喫煙室等における,空気中たばこ関連化学物質の実態調査を行った.

 喫煙室,喫煙室周辺及び事務室において,ニコチン,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アセトン,プロピオンアルデヒド,トルエン,メチルエチルケトン及びベンゼン濃度を測定した結果,全ての化学物質濃度中央値は喫煙室で高く,ニコチンは63.0 μg/m3,ホルムアルデヒドは66.2 μg/m3,アセトアルデヒドは113 μg/m3,ベンゼンは19.2 μg/m3で,事務室の2〜63倍以上高濃度であった.

 たばこ煙特有成分であるニコチンについては,喫煙室周辺や事務室から検出された施設があり,これらの概要を調査した結果,喫煙場所を室内の一部に設置していた施設,喫煙室のニコチン濃度が高かった施設(267 μg/m3),境界の扉を開けた時に流出気流が見られた施設があり,分煙効果を上げるためには設備対策が重要と考えられた.

 

  


 

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