☆ケシについて ───────────────────────────────
ケシは、あへんアルカロイド類を含有していて、多くの医薬品の原料となっている重要な薬用植物です。たとえば、モルヒネは強力な鎮痛剤としてがんの疼痛(とうつう)治療などに使われていますし、コデインは鎮咳(ちんがい)作用が強くぜん息薬やかぜ薬の製造原料となっています。しかし、これらは麻薬に指定されているため、ケシ(ソムニフェルム種)などの栽培は法律で規制されています。
☆ 栽培してはいけない「けし」の仲間 ────────────────────
ケシ(ソムニフェルム種)
Papaver somniferum L.
草丈は100〜150cmになります。全体にろう質が付着して、特徴のある白っぽい緑色をしています。 また、ほとんど毛がなく、茎は太くて、葉は半ば茎を抱いています。
5月頃、透明感のある花びらの白、赤、紫色などの大きくて美しい花を咲かせます。花が終わると、長円形または球形のかなり大きなさく果(けし坊主)をつけます。
ケシの変種には、花びらが細かく切れ込んだものや、ボタン型、カーネーション型の八重咲きのものがあり、花色も様々です。これらの変種は花がとても美しいため、誤って庭先などに植えられていることがありますが、栽培してはいけないケシの仲間です。
植えてはいけない「けし」 植えてはいけない「けし」 植えてはいけない「けし」 植えてはいけない「けし」 ケシ(一貫種) ケシ(八重咲き) ケシ(八重咲き) ケシ(一重咲き) 5月上旬〜5月中旬開花 5月中旬開花 5月中旬開花 5月中旬開花
アツミゲシ(セティゲルム種)
Papaver setigerum DC.
ソムニフェルム種に似て、葉の付け根は茎を抱いています。草丈は低く30〜80cmで、茎はよく分枝して、花はソムニフェルム種よりも小型で赤や紫色です。繁殖力がおう盛で空き地などに野生化していることがあります。
ハカマオニゲシ
Papaver bracteatum Lindl.
ペルシャ地方原産の多年草で、草丈は60〜100cmで全体に白色の剛毛が生えています。初夏に、花の下に苞葉(ほうよう)を持つ深紅の花を咲かせます。花は大きく約10cmで、オニゲシと似ていますが、花の色と苞葉とで区別します。
植えてはいけない「けし」 植えてはいけない「けし」 植えてはいけない「けし」 アツミゲシ(紫花) アツミゲシ(紅紫花) ハカマオニゲシ 4月下旬〜5月中旬開花 4月下旬〜5月中旬開花 5月上旬〜5月中旬開花
☆ 栽培しても良い「けし」の仲間 ───────────────────────
ヒナゲシ
Papaver rhoeas L.
「グビシンソウ(虞美人草)」とよばれているケシで、ソムニフェルム種に比べると、ずっと小さく弱々しい感じで草丈は40〜50cmです。花は、初夏に紅、橙(だいだい)、緋(ひ)色などの4弁花を咲かせます。変種には、八重咲きや花の中心が白色をしているものもあります。
オニゲシ
Papaver orientale L.
オリエンタルポピーの名前で、観賞用として最も広く栽培されている種類です。草丈は50〜100cmに達し、全株白色の剛毛で覆われています。いろいろな花の色がつくりだされています。
ブルーポピー(メコノプシス属)
Meconopsis sp.
ヒマラヤの青いケシとも呼ばれるメコノプシス属には、青色以外に黄色や紫色の花を咲かせるものもあります。
植えても良い「けし」 植えても良い「けし」 植えても良い「けし」 ヒナゲシ オニゲシ
(オリエンタルポピー)ブルーポピー
(メコノプシス・グランディス)5月上旬〜5月下旬開花 5月上旬〜5月下旬開花 5月上旬〜5月下旬開花
毎年5月には外側フェンスの一部が開放され、「ケシのミニ講座」も開かれます。⇒「ケシのミニ講座」レポート(2008年5月)へ
《がんの痛みからの解放》
1986年にWHOから「Cancer Pain Relif(がんの痛みからの解放)」というレポートが発表されて以来、国際的にモルヒネの鎮痛薬としての有用性が再認識され、その消費量が増大してきました。
日本でも、平成元年に発売された「硫酸モルヒネの徐放錠(じょほうじょう)」によってがんの痛みから解放された自宅療法が可能になりました。ところが、いまだがん疼痛(とうつう)緩和についての医療関係者の理解が十分とはいえず、厚生労働省・日本医師会などが中心となって、がんの疼痛に対するモルヒネなどの適正使用の普及が図られています。