世界の新型コロナウイルス変異株の発生状況(11月29日更新)WHOがオミクロン株をVOCに指定

 新型コロナウイルスは瞬く間に世界に広がり、各地で独自の変異を繰り返した結果、世界中から様々な変異株が報告されています。現在新型コロナウイルの遺伝子情報はGISAID Initiative*に登録され、そのデータは迅速に公開され誰でも利用することが可能です。

 この表はGISAIDのデータを共有して多角的な疫学解析レポートの自動作成が行えるサイトOutbreak infoLocation Trackerによって公開されている国別の登録シーケンス数、過去60日間の変異株検出データと、世界規模の情報公開サイトOur World in Dataより各国患者報告数の7日間移動平均値を参照して作成しました。

 表の並びは11月22日における各国の患者報告数の多い順になっています。記載してある株は以前はVOC(懸念すべき変異株)としていましたが、世界的に流行株のほとんどがデルタ株になったため、Pango命名法に基づくデルタ株のSublineages(AY亜型)を併記しました。 またいくつかの国からは過去60日以上有効な解析情報の提供がありませんでした。先週からの増減の数字の前の▲は減少を表しています。

 *GISAIDの目的ははエピデミックおよびパンデミックウイルスデータへの迅速かつオープンなアクセスを可能にする事であり、現在は新型コロナウイルスのシーケンスデータの共有基盤となっています。

新しい変異株の分類について(WHO,CDC)

 世界規模で新型コロナウイルスの変異株の種類が増加し感染地域も変化しています。病原性、感染性、ワクチンおよび治療法の効果等の観点から、危険性について様々な機関がVOC(懸念される変異株)、VOI(注目すべき変異株)等のクラス分けを行っています。

 11月26日世界保健機構(WHO)より上記の分類について更新する旨の発表がありました。新しくVOCに指定されたオミクロン(B.1.1.529,#343)については、WHOの、Classification of Omicron (B.1.1.529): SARS-CoV-2 Variant of Concernをご参照ください。         

参考リンク(GISAID:Tracking of Variants)(CoVariants:12K)(Cov-Lineages:B.1.1.529) (outbreak.info:B.1.1.529,南アフリカ)

 VOCとVOIの下にVUMを設け、旧VOIとされていたイプシロン、カッパ、イオタ、イータの5種をここに含め、ゼータ、シータ株は指定を解除されました。VUMカテゴリーは基本的にギリシャ文字のラベルは割り当てられませんが、以前のVOC/VOIについてはVUMへのカテゴリー変更後も監視が継続される可能性があるため、これらの株に割り当てられていたギリシャ文字は連絡があるまで維持する事とされました。Naming SARS-CoV-2 variants last updated on 24 Novenber2021. )

 また、CDC(米国)も9月23日に新しい変異株の分類と定義を発表し、VOCをデルタ株のみとし、VOIは該当なし、またアメリカ国内で流行している10種の変異株を新たにVariant Being Monitored(VBM)として定義し、アルファ(B.1.1.7、Q.1-Q.8)、ベータ(B.1.351、B.1.351.2、B.1.351.3)、ガンマ(P.1、P.1.1、P.1.2)、イプシロン(B.1.427およびB.1.429)、イータ(B.1.525)、イオタ(B.1.526)、カッパ(B.1.617.1)、B.1.617.3、ミュー(B.1.621、B.1.621.1)ゼータ(P.2)を指定しました。HVOIという分類も作られましたが、該当株はありません。

これらの変異株の重要度の見直しは、VOCがほぼデルタ株のみに収束しつつある状況を鑑みた措置とも思われます。

世界のデルタ株亜型の検出割合の経時的変化について

世界中で検出された新型コロナウイルス変異株の情報は上に述べたようにGISAID Initiative*に集約され、誰でも利用できる形で共有されています。その中の変異株情報集計サイトoutbreak-infoLineage|Mutation Trackerページから世界中で検出された様々な変異株の検出な情報にアクセスすることができます。その一例として今年の4月から現在までの世界中から検出されたデルタ株亜型(sublineage)の経時的な検出割合を示します。遺伝子情報を11月15日時点で最新の解析法を用いて分類してあります。分類法は新しい変異株情報の提案審議され毎週の様に更新され続けており、以前に検出されたウイルス遺伝子についても最新の方法により再度分析をしているので、同じ株に新しい名称が与えられている場合もありますが、それは新しい変異株が出現したのではなく新しい分類法により新しい名称が付けられた結果であることにご注意下さい。2021-11-09 世界のデルタ株

outbreak-info Mutation Tracker Delta Variant Reportより

 注:WHO.Pango,CDC等で使用されている変異株を表す単語は、lineage(系統)、Strain(株)、Variant(変異体)clade(分岐群)等様々であり厳密には違いもありますが、ここでは混乱を避けるために「型」と表記しています。

デルタ株におけるAY亜型(sublineage)の一覧と定義について (AY.125)

デルタ株におけるAY亜型は、コロナウイルス命名組織よりデルタ株のより詳な地域別、国別のデータ収集及び疫学的調査を行うために設けられた区分で、ウイルスの性質に大きな違いは確認されていません。今後も国やクラスターの状況把握と解析のためにさらに多くの亜型の認定が予定されています。

 11月1日にPangoNetworkよりAY系統についての新しい概要が発表になり、AY.119までの情報が公開されました。現在、cov-lineages系統表リストには現在AY.122.1までの概要が追加
されています。

(同義:遺伝子には変化があっても翻訳されるアミノ酸は同じであるため、結果的に翻訳結果がウイルスに違いが生じさせない遺伝子変異の事。同義置換)

 
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