レジオネラQ&A-4

レジオネラ汚染対策について


 レジオネラの基準はありますか?

 

 冷却塔水、家庭の浴槽水、水道水、雑用水等については、法律によって定められたレジオネラの基準はない。

 公衆浴場に関しては、厚生省(現厚生労働省)から平成12年12月に出された通達で、公衆浴場における水質基準等に関する指針が示されており、この中でレジオネラ属菌については10CFU/100mL未満とされている。

 東京都は条例等で、公衆浴場や旅館業等の浴槽水について「レジオネラ属菌は検出されないこと。」と定め、1年に1回以上の検査を行うこととしている。なお、ここでいう「検出されないこと。」とは、国が指針で示している10CFU/100mL未満のことである。

 


 

 レジオネラの検査の必要性はどのように判断したらいいですか?

 

 レジオネラが繁殖しやすい施設については、「新版・レジオネラ症防止指針」(平成11年11月(財)ビル管理教育センター発行、厚生省生活衛生局企画課監修)にある感染危険度因子の点数化によって判断することができる。

 危険因子の点数の合計によって「必要に応じて」から「年3回以上」のように、検査回数の目安を示している。詳細は「新版・レジオネラ症防止指針」を参照されたい。

 


 

 検査でレジオネラが検出された場合はどのような対応が必要ですか?

 

 「新版・レジオネラ症防止指針」では、水質検査でレジオネラが検出された場合、エアロゾルを直接吸入する可能性の大きさによって、次のような対応が示されている。

(1)エアロゾルを直接吸入する可能性が低い場合

100CFU/100mL以上検出された場合は直ちに清掃、消毒等の対策を行い、対策実施後に検出限界以下(10CFU/100mL未満)であることを確認する。

(2)エアロゾルを直接吸入する可能性が高い場合

目標値を10CFU/100mL未満とする。レジオネラが検出された場合は直ちに清掃、消毒等の対策を行い、対策実施後に検出限界以下(10CFU/100mL未満)であることを確認する。

 


 

 どれくらいの菌数なら安全ですか?

 

 レジオネラに感染し、発症するかどうかは単に菌数だけではなく、エアロゾルの発生量とそれによって飛散するレジオネラの菌数、エアロゾルの吸入量、エアロゾルの肺胞への進入程度、エアロゾルを吸入した人の健康状態や免疫力、基礎疾患の有無など、多くの要因が関係する。したがって、「これ以下の菌数なら安全」という線引きはできない。

 レジオネラが大量に繁殖していた24時間風呂を使っていた家庭でもレジオネラ症患者が出ていない例もある。ただし、菌数が少なければ少ないほど、その水がより安全な状態にあることは間違いないので、レジオネラが繁殖しやすい設備等を使用する場合は、レジオネラを増やさないように日頃から管理を怠らないことが大事である。

 


 

 レジオネラの繁殖を防ぐ方法は?

 

 空調用冷却塔水、24時間風呂などの循環式浴槽あるいは給湯系の貯湯槽などでレジオネラが繁殖するのは、こうした施設ではレジオネラの繁殖に適した環境条件(水の滞留時間が長い、餌となる有機物がある、スライムやバイオフィルムなどレジオネラの繁殖を助ける微生物群集が発生する、暖かい水温、その他)が整いやすいからである。したがって、なるべく短期間(風呂などは毎日)での換水、水槽や配管並びにフィルターなどの定期的な清掃、レジオネラが繁殖できない温度(60℃以上)の維持、塩素系薬剤による定期的な消毒処理など、適切な管理を行ってこのような環境条件を与えないようにすることがレジオネラの繁殖を防ぐのに効果的である。

 なお、東京都は条例等で、公衆浴場や旅館業等で貯湯槽を使用する場合やろ過器等を使用して浴槽水を循環させる時は、定期的な清掃や洗浄、消毒を行うように定めている。また貯湯槽内の湯の温度を60℃以上に保つことや、循環使用する浴槽水の遊離残留塩素(0.4mg/L以上)の維持並びに定期的にレジオネラの検査を行うことを定めている。

 冷却塔や24時間風呂など各設備についてのレジオネラの繁殖を防ぐための管理方法については「新版・レジオネラ症防止指針」等を参照されたい。

 


 

 塩素殺菌はレジオネラに有効ですか?

 

 レジオネラに対して塩素は有効であるが、大腸菌とは異なり速効性はない。大腸菌は0.1mg/Lの遊離残留塩素で1分以内に殺菌されるが、レジオネラを99%殺菌するのに遊離残留塩素0.1mg/Lでは30〜60分以上、0.5mg/Lでは5分との報告がある。当研究センターが行った都内の特別養護老人ホームにおける実態調査では、遊離残留塩素が0.1mg/L以上あればレジオネラはほとんど検出されないことが判明した。

 また厚生省(現厚生労働省)は平成12年12月に出した通達「公衆浴場における衛生等管理要領等について」で、浴槽水中の遊離残留塩素を、1日2時間以上、0.2〜0.4mg/Lに保つことが望ましいとしている。

 東京都は条例等で、公衆浴場や旅館業等でろ過器等を使用して浴槽水を循環使用する時は、塩素系消毒剤で消毒し、浴槽水の遊離残留塩素濃度を0.4mg/L以上に維持することを定めている。なお、スライム(ぬるぬるした付着物)やスケール(鉱物質の固い付着物)、錆こぶなどに潜り込んだ菌には塩素の殺菌効果が及ばないので、あらかじめ清掃を行ってそれらを取り除いておく必要がある。これは他の殺菌剤を使う場合も同様である。

 


 

 熱処理は有効ですか?

 

 レジオネラは大腸菌と同じくグラム陰性菌であるので熱に弱い。60℃以上の高温では5分以内に殺菌されるという実験結果がある。

 また、実際の施設の循環式給湯設備内にレジオネラが定着し、貯湯槽の清掃だけでは完全に除去することができなかった事例で、給湯水温度を70℃に上げて20時間循環させる加熱処理を併用したところ、レジオネラに対して十分な殺菌効果が認められた。

 なお東京都は条例等で、公衆浴場や旅館業等で貯湯槽を使用する場合は、貯湯槽内の湯の温度を60℃以上に保つことを定めている。

 


 

 レジオネラ症にかからないための注意点は?

 

 レジオネラは他の病原菌に比べて感染力はそれほど強くないといわれているが、感染防御機能(免疫力)の低下した人(高齢者、幼弱者、免疫不全者等)や基礎疾患(糖尿病患者、慢性呼吸器疾患者等)を持っている人では感染する危険がある。また職業的に暴露を受けやすい人(園芸作業者、冷却塔清掃者等)も注意が必要である。

 レジオネラはこの菌を含むエアロゾルを吸入することで感染するので、レジオネラに汚染されやすい施設(循環式浴槽、ジャグジー、打たせ湯、温水シャワー、冷却塔など)から発生するエアロゾルを吸い込まないように気をつける。特に上記のような感染を受けやすい人は注意が必要である。なお、患者との接触で感染したという報告はない。

本ホームページに関わる著作権は東京都健康安全研究センターに帰属します
© 2014 Tokyo Metropolitan Institute of Public Health. All rights reserved.