レジオネラQ&A-3

検査方法について


 

 水中のレジオネラの検査方法を教えて下さい。

 

 当研究センターでは冷却塔水や浴槽水について、新版・レジオネラ症防止指針やISO、上水試験方法等を参考に、以下の手順でレジオネラ属菌の検査を行っている。

 まず、試料水をフィルターでろ過し、このフィルターから少量の滅菌精製水中に菌体を洗い出して濃縮する。次いで、レジオネラ属菌以外の微生物の発育を抑制するためにpH 2.2の酸処理液で処理してから選択培地に塗抹する。

 レジオネラ属菌の確認には、システイン要求性試験及び免疫血清等による凝集反応試験を行う。また、必要に応じて遺伝子検査等を行っている。

 


 

 レジオネラの選択培地には何を使えばよいのでしょうか?

 

 GVPCα寒天培地(日研生物医学研究所)やWYOα寒天培地(栄研化学)が生培地として市販されており、使いやすい。このほかにも、GVPC培地(メルク)やBMPAα培地、MWY培地(オクソイド)などが市販されている。

 これらの培地は選択成分である抗生物質の組成等がそれぞれ若干異なっており、夾雑菌等の抑制効果やレジオネラの分離結果などに差がでる可能性があることを理解して使用する。

 


 

 どのような種類のレジオネラが検出されるのですか?

 

 平成24年現在、レジオネラには55菌種が報告されているが、当研究センターが1987年からこれまでに行った調査で、冷却塔水などの水環境に生息しているレジオネラはL.pneumophilaの複数の血清群が大半を占めていることが明らかになった。

 また、菌の生息環境によってL.pneumophilaの血清群に特徴があることが示唆されている。 L. pneumophila 以外にもL. bozemanii や L. micdadei 等の菌種が検出されることもある。

 なお、レジオネラは通常の細菌用培地にはまったく発育せず、また、本菌の酵素活性が非常に微弱なため生化学的な性状試験で種のレベルまで同定することは不可能である。そこで、一般的には抗原抗体反応を利用して免疫血清(デンカ生研)によるスライド凝集試験やラテックス標識抗体(オクソイド)によるラテックス凝集試験が行われているが、現在市販されている免疫血清で同定できるのは L. pneumophila の血清群1〜6群と L. pneumophila を含む5菌種のみであり、その他の菌種や血清群は同定することができない。

 また、核酸の雑種形成による同定法(DNA-DNA ハイブリダイゼーション法)が開発され、レジオネラに関してもこの方法によるキット(極東製薬)が市販されており、レジオネラ属の25菌種が同定可能である。

 


 

 種まで同定する必要がありますか?

 

 現時点ではレジオネラの病原因子が解明されていないので、レジオネラ属の全ての菌種がレジオネラ症を引き起こすと考えておく必要がある。またその一方で、前記のように、レジオネラ属で菌種を迅速に同定できるものは限られている。

 したがって、日常的な汚染レベルの監視等でレジオネラを種のレベルまで同定しなければならないとする必要性は薄く、また実務上も限界がある。しかし、レジオネラ症の発生に伴う環境調査では分離菌の菌種と血清群の同定が必要であり、さらに患者株との遺伝子的照合を行わなければならない。そのため可能であれば菌種や血清群を同定し、記録しておく方が望ましい。

 


 

 レジオネラの検査を始めたいのですが、どのような注意が必要ですか?

 

 レジオネラは病原細菌であることをよく承知しておく必要がある。レジオネラは国立感染症研究所の病原体危険度分類では、レベル2に分類されている。

 レベル2の病原体は、「ヒトあるいは動物に病原性を有するが、実験室職員、地域社会、家畜、環境等に対し、重大な災害とならないもの、実験室内で暴露されると重篤な感染を起こす可能性はあるが、有効な治療法、予防法があり、伝播の可能性は低いもの」と定義されている。

 しかし、レジオネラは感染した場合致死的な肺炎を引き起こす可能性がある病原細菌であり、検査は病原細菌を扱う技術やバイオハザード防止の知識を十分に持った熟練した専門家が行う必要がある。水道水の水質基準の細菌検査程度の経験でレジオネラの検査もできると安易に考えてはならない。

 


 

 レジオネラの検査に必要な実験室の設備等を教えて下さい。

 

 滅菌装置など一般的な細菌検査に必要な器材等を備えた細菌試験室であれば取り扱うことができる。空調装置は浮遊細菌等の微粒子除去が可能なHEPAフィルターを備えている方が望ましい。

 ただし検査に際しては、エアロゾルを発生する可能性がある操作はレベル2のバイオハザード防止型安全キャビネット内で作業するなど、エアロゾルの発生による実験室内環境の汚染と作業者への暴露を避けるための配慮が必要である。

 


 

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