レジオネラQ&A-2

細菌学的事項について 


 

 レジオネラという名前はどのようにして付けられたのですか?

 

 1979年、Brennerらによって、フィラデルフィアでの在郷軍人病の原因菌に新科Legionellaceaeが設けられ、新属Legionella(レジオネラ)の新種 Legionella pneumophila と命名された。

 Legionellaとは米国在郷軍人会the Legionにちなんだ名であり、pneumophilaはモダンラテン語形容詞で「肺親和性の」を意味するもので、重症肺炎の原因菌として発見されたことに由来する。その後いくつもの菌種が見出され、2002年現在でレジオネラ属の細菌として43菌種が正式に発表されている。菌種を区別せずに包括的に指す場合にレジオネラ属菌あるいは単にレジオネラと呼ばれる。なお、レジオネラ菌という呼び方はしない。

 


 

 レジオネラの形態学的な特徴はどのようなものですか?

 

 レジオネラは個々の細胞が非常に細長いという形態学的特徴を有する。新鮮分離株では0.3〜0.9×2〜5μmの好気性グラム陰性桿菌で、比較的均一な細胞が観察されるが、何代も培養を繰り返したものや培養条件によっては20μmあるいはそれ以上の長桿菌が混在していることもある。レジオネラはグラム染色法で赤く陰性に染まるが、大腸菌などに比べるとやや染まりにくい。

 


 

 レジオネラの生理的な特徴は?

 

 レジオネラは一般の細菌検査用培地にはまったく発育しない。レジオネラは発育にL-システインやL-セリン、スレオニンなどのアミノ酸類をエネルギー源及び炭素源として要求する。

 特に、L-システインは不可欠の栄養素であるので、レジオネラ用の培地にはこれが必須である。また、微量の有機鉄化合物を増殖促進因子として加える必要がある。さらに、環境中とは異なり、人工培養ではレジオネラはpH6.8±0.1の限られた範囲でなければ増殖しないため、培地中のpHを一定に保つための緩衝剤が必要である。

 レジオネラは培地中に存在するオレイン酸やその他の脂肪酸により発育を阻害されるので、これらの発育阻害物質を吸着除去するために、活性炭末を添加する必要がある(このためレジオネラ用培地は黒色を呈している)。

 


 

 レジオネラの増殖に関する特徴はどのようなものですか?

 

 レジオネラ用の培地を用いれば、通常の酸素のある状態で十分に発育するが、大腸菌が2倍に増える時間が15〜20分であるのに対し、レジオネラの場合は4〜6時間かかる。このように発育が非常に遅いため、環境からの分離培養で独立集落を肉眼で確認するためには5日以上の培養が必要となる。

 レジオネラの集落は辺縁明瞭な凸状の円形で、色調は青みを帯びた灰白色を呈し、湿潤性で光沢がある。また、レジオネラが増殖した平板には特徴的な淡い酸臭がある。

 


 

 レジオネラと他の微生物とはどのような関係がありますか?

 

 レジオネラの培地上での増殖至適条件は非常に限定されているにもかかわらず、自然環境においては温度、pHなどの条件がかなり異なる場所においても生息している。その理由の一つとして、環境水中のレジオネラは、ある種の藍藻や緑藻の細胞外代謝産物を炭素源あるいはエネルギー源として利用しており、これらの藻類と共生関係にあることが挙げられる。

 また、レジオネラは生体中のマクロファージや環境中に生息しているアメーバなどの原生動物の細胞内でも増殖することがある。しかし、そうした細胞がなくても増殖できるので、通性細胞内増殖細菌と呼ばれており、実際の環境水ではアメーバがいなくてもレジオネラが検出される。

 


 

 レジオネラは水中で何日間くらい生きていますか?

 

 レジオネラは水中でかなり長期間生残することが知られている。蒸留水中では139日間生残していたとの報告がある。

 レジオネラが存在する浴槽水を室温に保存したところ、50日を経過してもその菌数が実質的に減少しなかった事例がある。

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