Q4 薬の値段の差と効果
Q11 鎮痛剤を常用しても大丈夫?
Q12 薬局、薬店で睡眠薬を買えますか?
Q15 血圧計の値の変動
Q16 経口避妊薬の使用について
全く副作用のない薬はありません。薬は両刃の剣に例えられるように、好ましい作用(効果)と好ましくない作用(副作用)と持ち合わせています。
副作用の発現や症状の程度は人によって異なります。すべての人に副作用が現れるわけではありませんが、少しでも薬の副作用による健康被害を減らすために次のことに心がけましょう。
1 添付文書や外箱は必ず保管し、使用上の注意をよく読む。
2 用法、用量は正しく守り、自己判断で勝手に量を増やしたり、減らしたりしない。
3 症状が改善されない場合は、そのまま使い続けず、医師、薬剤師に相談する。
4 複数の医療機関を受診したり、薬局や薬店で購入した医薬品を併用するときには、薬の重複服用を避けるため、医師、薬剤師によく相談する。
5 副作用が疑われる症状が現れたときは、直ちに服用を中止し、医師、薬剤師に相談する。
なお、副作用の初期症状、早期発見のポイントは、重篤副作用疾患別対応マニュアル(一般の皆様向け)を参照して下さい。
ミニ知識 副作用発現頻度の記載方法 | ||
医薬品の使用上の注意には、副作用の欄に「ときに」食欲不振、「まれに」頭痛が現れることがある。」などと記載されている場合があります。 |
この「まれに」や「ときに」の言葉は、副作用の発現頻度によって次のように使い分けることになっています。
まれに | 0.1%未満 |
ときに | 0.1から5%未満 |
副詞なし |
5%以上または頻度不明 |
まず、かぜとかぜ薬の関係を考えてみましょう。かぜとは、ウイルスや細菌などに感染して発症する発熱、せき、くしゃみ、鼻水、頭痛などの諸症状のうち急性なものをいいます。
かぜ薬は、これらの諸症状を緩和する薬であって、病気の根本原因(ウイルスや細菌)を退治するものではありません。
かぜ薬でかぜの症状を抑えながら、人間の自然治癒(ゆ)力によってかぜの原因菌やウイルスに打ち勝つわけです。自然治癒(ゆ)力に頼るのですから、体力の強い人の方が回復が早いといえます。
ビタミンドリンクは、食事ができず、栄養不足により体力が消耗しているときに、栄養を補給する効果はありますが、かぜの回復を早めるような効果は認められていません。
かぜ薬の中の眠くなる成分によって頭がぼんやりしているときに、多くのビタミンドリンクに含まれているカフェインのため、気分が高揚し、かぜが治ったように感じるのかもしれません。
何の説明もなく今までと違う薬を渡された場合は、薬をもらった医療機関や薬局で確認してください。
薬の色が変わった理由として次のようなことが考えられます。
1 医師が薬の種類を変更した。
2 医師が薬の量を変更した
(同じ成分でも、薬の有効成分が入っている量によって錠剤の色を変えている薬もあります。)。
3 同じ薬だが、メーカーが薬の色を変更した。
病院や診療所で与薬されたり、処方せんにより薬局で調剤される医療用医薬品は、社会保険制度によって薬の値段(薬価)が決められています。これに対して、薬局や薬店で買える一般用医薬品の価格は、自由に決めることができます。
配合する成分の種類や原価の違い等により、値段が異なるのでしょうが、必ずしも値段が高い薬の方が効き目があるというわけではありません。
薬を服用してから効果が現れるまでの時間は、早いものでも30分ぐらいかかりますから、乗り物に乗る30分から1時間前には服用しておきましょう。
また、1日2回以上服用する場合は、4時間以上間隔をあけてください。
ただし、薬の剤型や服用方法によって効き目が異なる場合があるので、製品についている「使用上の注意」を必ずよく読んでから服用しましょう。
なお、かぜ薬、解熱剤、痛み止めや咳(せき)止めなどには、乗り物酔いの予防薬と重複する成分が含まれていますから、これらの薬との併用はさけましょう。
鼻水を止める薬のなかには、抗ヒスタミン剤やベラドンナアルカロイドという成分が含まれているものがあります。これらの成分は、分泌物を抑制する作用があるため、鼻水を止めるだけでなくのどが渇くことがあります。
鼻水を止める薬以外にも、これらの成分が含まれているものがあり、同じような症状が現れることがあります。これらの成分を含む薬を併用しないようにしましょう。
また、のどの渇き以外にも便秘や眠気などが現れることがあるので服用前に必ず使用上の注意をよく読み、薬の特徴を知っておきましょう。
喉が渇くことのある薬 | ||
かぜ薬 乗り物酔いの防止薬 胃の痛み止め 下痢止め じんましんや花粉症などのアレルギーの薬 咳止め など |
薬の中には、尿の色を変えるものがありますが、一時的なものなので心配いりません。
変色の原因は、薬そのものの色による場合と、薬が体内で代謝されて色がつく場合とがあります。
尿の色を変える薬の例として、ビタミン剤、下剤、抗生物質などがあり、黄色や赤色になることがあります。
また、尿の色は、水分の取り方や汗のかき方によって濃くなったり薄くなったりします。また、飲食物によっても変化します。
心配な点は、薬剤師に相談しましょう。
病院で診察を受け、薬による治療が必要と医師が判断すると、処方せんを発行します。
病院内の薬局で薬を受け取る場合は院内処方せんが発行されますが、街の薬局で薬をもらう場合は、院外処方せんを発行してもらいます。
自宅の近くの薬局で薬をもらいたい時は、医師が処方せんを書く前に「保険薬局で薬をもらいたいので、院外処方せんを書いてほしい。」と申し出てみましょう。
また、薬局はできるだけ1か所に決めて利用しましょう。1か所の薬局を利用することにより、薬の服用歴を管理してもらえる等副作用の防止にも役立ちます。
ただし、院外処方せんを発行していない医療機関もあります。
ビタミンは、必要とする量は微量ですが、正常な生理機能を維持するために、欠かすことのできない物質です。かつては、ビタミンAの不足による夜盲症、ビタミンB1の不足による脚気(かっけ)などビタミンの欠乏症が問題になりました。
今日では、食生活の改善や豊富な食料事情により、ビタミンの欠乏症はほとんどなくなりました。反対に最近は、脂溶性ビタミンのA、D、Kの大量摂取による食欲不振、悪心、嘔(おう)吐、頭痛、便秘など過剰症に気をつける必要性が指摘されています。
必要なビタミンは、正しい食生活によって摂取するよう心がけましょう。そして医薬品のビタミン剤は、栄養障害、発熱性消耗性疾患など特にビタミンの補給が必要な時に使用し、1か月くらい服用しても症状の改善が見られない場合には、医師又は薬剤師に相談しましょう。
薬の中には連用すると効き目が弱くなるものがあります。しかし、効き目が弱くなったからといって量を増やし、長期間のみ続けることは、副作用の面からも決して好ましいことではありません。
便秘にはいくつかのタイプがあります。薬にたよるだけでなく、それぞれのタイプにあわせた生活指導を受けることも効果的です。
また、急に便秘がひどくなったり、便に血液がまじるような場合は、他の病院が原因であることも考えられるので、一度専門医に受診することをおすすめします。
便秘は、ならないようにするための心掛けが大切です。そのためには、食事や水分の摂取に気をつけること、適度な運動や規則正しい排便の習慣をつけること等が大切です。その上で、便秘が続くときにはじめて薬を用いるようにしましょう。
長期間飲み続けることは、好ましくありません。
鎮痛薬では、痛みを和らげることはできても、痛みの根本原因を治療することはできません。また、薬の持つ作用のうち人体にとって好ましくない作用を副作用といいますが、これは一般に、一度の服用よりも長期間服用している方が現れやすくなります。
市販の鎮痛薬を使う場合でも、使用期間を必要最低限にすることが、副作用の発現を少なくするために必要です。
また、一口に頭痛といっても、原因は様々です。一度医師の診断を受け、正しい治療方法を相談することが大事です。
生薬製剤など、作用のおだやかなものは、薬局や薬店で買えますが、作用の強いものは、医師の診察を受けないと、手に入れることはできません。
これは睡眠薬の大部分が「麻薬及び向精神薬取締法」という法律で「向精神薬」として規制を受け、製造、販売等が制限されているからです。また、その他の睡眠薬も「薬事法」で販売が制限されているものがあります。
良く眠れないということは、体に異常がある場合が多いので、早めに医師に相談することをお勧めします。
健康食品は、医薬品とは違い、病気の治療を目的とするものではなく、主に栄養補給や健康維持のために用いるものです。
病気の時は、健康食品に頼るのではなく、医師、薬剤師に相談し、医薬品による治療を受けましょう。
なお、健康食品の広告物などに、次のような医薬品と誤解される表現が見られることがありますが、科学的に正しくない情報をもとにしたものが多いので、安易に信用しないようにしましょう。
1 まだ、動物実験でしか効果が認められてない成分を人にも効くという表現
2 一部の治療例を示し、あたかも有効であるという表現
3 病気が治ったという体験談
血圧や心臓の薬は血管の拡張、収縮作用、心拍数の増加、減少作用、強心作用や利尿作用などにより血流量を増加したり、減少したりするものです。
この血流量の増減は、心臓にとどまらず全身に及ぶので、精神活動の源である脳の血流にも、影響を及ぼすことになります。薬の種類や個人差によって、頭痛、めまい、ふらつきなどの副作用が現れることがあります。
物忘れとの因果関係は明らかではありませんが、最近の研究では、脳の機能が低下している高齢者では、脳血流量の低下により、薬物性の健忘症が現れやすくなるのではないかと言われています。
しかし、血圧や心臓の薬は、副作用を恐れて勝手に飲むのをやめると、治療効果が上がらないばかりでなく、命にかかわることになります。
また、こうした副作用はすべての薬、すべての人に現れるというわけではありません。医師は、患者さんにとって最も治療効果が高く、最も副作用の少ない薬を選んでいます。信頼して治療に専念するとともに、副作用と思われる症状が現れた場合や疑問に思うことは、医師に相談しましょう。
ミニ知識 1回量包装(one dose package) | ||
・1日に飲む回数や1回に飲む量の異なる薬が複数処方されているときに、1回飲む分を1包にまとめることです。 ・飲み忘れや飲みまちがいを防ぐことを目的とした調剤方法です。 |
血圧計が故障しているわけではありません。
血圧は、1日のうちでも測定時刻、気候、心身の状況、姿勢などによって大きく変動します。
毎日、一定時刻に、なるべく暖かい静かな所で、心身ともに安静な状態で測った値を参考にしてください。
また、値が大きく変化した時は、必ず医師の診断を受けるようにしましょう。
経口避妊薬(ピル)は、この薬に含まれている女性ホルモンの働きにより、主に排卵を抑制することで妊娠を防ぐ錠剤です。
医師の指導のもとに正しく使用することが大切ですので、必ず医師の診察を受けてください。(診療費、薬代ともに保険は適用されません。)
28日間を1周期として、21日間毎日1錠服用し、7日間休薬するタイプと28日間毎日服用(7日間はホルモンが含まれていない錠剤を服用)するタイプがあります。
原則として月経(生理)1日目から飲み始めます。毎日ほぼ一定の時刻に飲み、飲み忘れないことが大切です。
乳がん、子宮がんの疑いのある人、血栓症にかかったことのある人、妊娠、授乳中の人、35歳以上で1日15本以上喫煙する人などは服用してはいけません。
副作用を防ぐために、定期的に検診を受けるようにしてください。
ピルにはエイズなどの性感染症を防止する効果はありません。服用する際は、医療機関で配布される説明書をよく読みましょう。
平成22年3月19日
このページの担当は 健康安全研究センター 企画調整部 健康危機管理情報課 食品医薬品情報担当 です。