アレルギー豆知識(対応編)

 『対応編』では、疾患毎に対応のポイントを簡単に説明しています。
 アレルギー疾患では、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、適切な対応をしていくことが大切です。

 

ぜん息

 薬物療法(ぜん息療法の基本)

 ぜん息の治療に使われる薬には、「発作治療薬」と「長期管理薬」の2種類があります。

 ◇ 発作治療薬:急性発作の時の気道収縮を改善する作用があり、β刺激薬などの気管支拡張剤や炎症コントロールとしてのステロイド薬が使われます。症状が起きた時にだけ使用するもので、発作を改善する薬です。

 ◇ 長期管理薬:発作のないときも気管支に残っている慢性の炎症を治療する薬で、炎症を沈め、気道の粘膜の正常化により発作を起こりにくくします。毎日使用するものです。

 治療の基本は「発作を起こさないこと」で、治療の主は「長期管理薬」になります。根気よく服薬・吸入することで発作が起こらないように予防することが大切です。
 上手に薬でコントロールし“ぜん息発作ゼロ!”を目指しましょう。

発作予防の方法

 発作予防の方法として、ぜん息日誌とピークフローメーターが役立ちます。ピークフローメーターは、息を力いっぱい吐き出したときの速さを測定するもので、気管支の状態を判断する手がかりになります。
 また、ぜん息日誌は、ピークフロー値や症状を記録することにより、発作のきっかけに気付いたり、予防のヒントや治療の目安になります。

ピークフロー

環境整備

 子供のぜん息の場合、気道炎症の原因の大部分は、ダニ、ハウスダスト等のアレルゲンによるものと言われています。
 ダニ等のアレルゲンを最小にするために、こまめな掃除で可能な限り除去しましょう。

体力づくり

 運動を続けることで、呼吸機能そのものが強化され、発作を起こしにくくなるばかりでなく、風邪などに対する抵抗力もついてきます。ただし、発作を起こさないように運動する工夫が必要です。
 インフルエンザやその他ウイルスなどの呼吸器感染は、発作を引き起こす原因になります。日頃からインフルエンザ等の予防対策や体力づくりに心がけましょう。

ぜん息日誌

 

アトピー性皮膚炎

原因・悪化因子の検索と除去

 アトピー性皮膚炎の原因は、人によってさまざまです。診療を通じて、それらを十分に確認し、無理のないように適切な対応をとっていくことが大切です。

スキンケアの徹底

 アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が低下しています。皮膚の清潔を保ち、十分な保湿と保護が大切です。

薬物療法

 ステロイド軟膏の塗布や抗ヒスタミン薬の内服などを行います。
 ステロイド軟膏は、医師の診断に基づき、症状があるうちは継続して十分量の軟膏を塗布することが重要です。

 

アレルギー性結膜炎

原因となるアレルゲンの回避

 花粉やハウスダストなどのアレルゲンを避けることが基本です。
 外出を控えたり、花粉防御用メガネを着用したり、目に入ってきたアレルゲンを洗い流すため人工涙液*による洗眼が有効です。

 *人工涙液:水道水より涙に近い。洗眼の目的で何度も使用したい場合は、防腐剤の入っていないものの方がよいでしょう。

薬物療法

 治療は、点眼薬による薬物療法が中心です。
 重症度に合わせた、適切な治療薬(抗アレルギー点眼薬やステロイド点眼薬など)を用い、症状を抑えていきます。医師の指示通り、点眼回数や期間を守ることが大切です。

 

食物アレルギー

原因となる食物の除去

 原則は、医師の正しい診断に基づいた、必要最小限の原因食物の除去です。
 原因となる食物の数や種類は一人ひとり異なり、症状も個人差があります。また、子供の場合は過度の除去により、発育や発達に影響を与えることがあります。除去する食物の種類のほか、除去の程度や方法、期間について医師と十分相談しましょう。

薬物療法

 食物アレルギーの治療・予防の原則は、原因食物を取り除くことであり、薬物療法はあくまでも補助療法です。多くの場合、診断が確定し、症状が安定したら中止することが可能です。

 

アレルギー性鼻炎

原因となるアレルゲンの回避

 花粉やハウスダストなどのアレルゲンを避けることが基本です。
 診療を通じて、アレルゲンを確認し、アレルゲンを除去するための環境整備(ダニの駆除、掃除等)を行うことが必要です。また、花粉症の場合は、外出時の対策(マスク・メガネ・帽子の着用など)や花粉を室内に入れない工夫(洗濯物や布団は花粉をよく払い落としてから取り込むなど)が必要です。

薬物療法

 治療は、内服薬や点鼻薬などによる薬物療法が中心です。
 主治医の指示に基づき、内服、点鼻などを行います。内服薬では、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などが用いられますが、抗ヒスタミン薬には、眠気を催す副作用が多くみられます。副作用がひどい場合は、薬を替えてもらうなど主治医に相談しましょう。
 他の治療法としては、抗原エキスによる減感作療法などがあります。

医師の指示

 上記の対応方法は、一般的なものであり、詳細については、主治医に相談しましょう。

 

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このページの担当は 健康安全研究センター 企画調整部 健康危機管理情報課 環境情報担当 です。

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