平成19年9月17日更新

吹付けアスベスト等に関する室内環境維持管理指導指針について

東京都は、アスベストの使用が社会問題化したことを背景に、平成元年に「東京都アスベスト対策大綱」を制定しました。これを受けて、建築物に使用されている吹付けアスベストの飛散を防止し、建築物内の保持のため同年に「吹付けアスベストに関する室内環境維持管理指導指針」を定め、平成17年9月には、これを改正した「吹付けアスベスト等に関する室内環境維持管理指導指針」が施行されました。


目次

アスベストとは

漢字で「石綿」と書き、「せきめん」「いしわた」とも呼ばれ自然界に存在する唯一の鉱物繊維です。繊維は、1〜2ミクロン程度の細い繊維で、繊維の束や単一繊維の状態で大気中に浮遊します。アスベストによる健康影響については、長期間アスベスト粉じんを吸入し続ける鉱山や工場などでアスベスト肺、肺ガン、悪性中皮腫等の発生が明らかになっています。

室内環境で問題になるアスベスト等

アスベストは、建築物の中で主に次のような形態で使用されています。

建築物内におけるアスベストの使用形態
1.吹付けアスベスト等
防音、耐火等を目的として、アスベストもしくはアスベストをその重量の0.1%を超えて含有する吹付け材を、セメントと一定割合で水を加えて混合し、吹付け施工したものです。
なお、アスベストをその重量の0.1%を超えて含有する吹付け材には、吹付けロックウール、吹付けバーミキュライト(吹付けひる石)、パーライト吹付け等があります。
2.保温材・耐火被覆材
建築物の壁や天井、柱、ボイラーや配管などに貼り付けられた保温材・耐火被覆材にも、アスベストを使用もしくは含有しているものがあります。
これらの材料は、表面を保護している被覆材に損傷のない状態では、室内での飛散のおそれはありません。
3.アスベスト成形板(石綿スレートなど)
アスベスト成形板は、建物の外壁や屋根など、広い範囲で使用されています。
アスベスト等をセメントと固化して造るため、通常の状態では飛散のおそれはありません。

これらのうち、劣化等による繊維の飛散のおそれから、室内環境で問題になるのは、「1.吹付けアスベスト等」です。2.及び3.は、建材等の損傷や建物の解体・改修作業等を除いた通常の使用状況では、繊維が飛散するおそれはありません。

指針に基づく吹付けアスベスト等の維持管理方法について

1.吹付け材のアスベスト含有調査

所有者・管理者は建築物に吹付け材がある場合、アスベストが使われているかどうかを次の方法で調査確認してください。

なお、アスベスト含有吹付け材の調査と確認等については、東京都環境局が「建築物アスベスト点検の手引」を作成しましたので、アスベスト情報サイトからご覧ください。

吹付け材のアスベスト含有調査の手法
a.建築年次による判断
吹付けアスベストは、昭和30年代から施工され始め昭和46〜47年頃が最も多く使用されています。昭和50年に労働衛生の観点からアスベストを5%を超えて含有する建材の吹付け作業が禁止され、平成7年にはアスベストを1%を超えて含有する建材の吹付け作業が禁止されました。
b.設計図面等による判断
図面(仕上表等)に記載されている「アスベスト吹付け」等の表示により判断することができます。
c.X線回折法または電子顕微鏡による調査
最も確実な分析方法です。

2.措置等の判定

@措置とは

吹付けアスベスト等に対して、下の表に掲げるいずれかの措置を行うことです。

吹付け材に対する措置の種類
除去 吹付けアスベスト等を壁などからはく離し撤去すること。
封じ込め 表面固化処理または内部浸透処理により、アスベスト層の表面等を固定すること。
囲い込み 吹付けアスベスト等をシートや板材等で囲うこと。

A判定

吹付け材のアスベスト含有が確認された場合には、その部屋の使用状況や吹付け材の表面の状態を考慮し、以下の表に従って措置等の時期を判定してください。

吹付け材に対する措置等の判定表
部屋等の使用状況\アスベスト等の状態飛散のおそれが大きい飛散のおそれが小さい安定
使用頻度が高い
使用頻度が低い
措置の内容
直ちに、除去等の措置を行う。
早い時期に、除去等の措置を行う。
損傷部について直ちに補修を行い、点検・記録後、必要に応じ除去等の措置を行う。
点検・記録による管理をする。

<部屋の使用頻度について>

部屋の使用頻度が高いとは
人の出入りが多く、常時使用する場所(事務室・教室・店舗・図書室・会議室・廊下・湯沸場等)
部屋の使用頻度が低いとは
倉庫、機械室、電気室、変電室、非常階段等(ただし、常時人がいる場合は使用頻度が高いとする)

<飛散のおそれについて>

飛散のおそれが大きいとは
毛羽立ち、くずれ、垂れ下がり、損傷、欠損、床面に破片、下地と遊離のどれかひとつでもある場合
飛散のおそれが小さいとは
損傷・欠損は局部的で他は下地に固着しており、損傷の拡大は見られない状態
安定とは
ひっかき傷、かすり傷、下地の腐食、ひび割れ、垂れ下がり、くずれ、下地と遊離のいずれの状態もない場合

3.工法選択

措置の時期が決まったら、次のフローチャートによって方法を選択します。当面の措置として点検・記録で対応する場合は、点検の状況によって再度措置を検討します。

吹付けアスベスト等の措置工法選択フローチャート

※封じ込め又は囲い込み、並びに点検・記録による管理のいずれに該当する場合についても、「除去」を選択することができます。

4.点検・記録による管理

吹付けアスベスト等に対し、除去等の措置を行わない場合、または、封じ込め・囲い込みによる措置を講じた場合は、次に示すような点検・記録による管理を行います。

点検・記録による管理の方法
措置を行わない場合
  • 使用頻度の高い施設―月に1回点検し、記録を保存します。
  • 使用頻度の低い施設―6箇月に1回点検し、記録を保存します。
封じ込め・囲い込みを行った場合
  • 年に1回封じ込め等の状況の点検を実施します。
  • 破損箇所を確認した場合は、速やかに補修等を行います。
除去を選択した場合
  • 工事終了後、アスベスト繊維数濃度測定を行い、飛散していないことを確認します。
  • 濃度が高い場合は、除去場所に硬化剤の塗布や床面の清掃等を実施します。

吹付けアスベスト管理台帳(様式例)及び(記入例)のダウンロード

5.除去等の措置における注意事項

除去等の工事を実施する際には、届出が必要です。また、アスベストの飛散防止措置と廃棄物の適正な処分が求められます。詳細については、以下のサイトをご覧ください。

6.所有者・管理者の留意事項

  1. 建築物の改修等工事をする場合は、その所有者、管理者等は工事者に、吹付けアスベストが使用されていることを知らせ、注意を喚起することが必要です。
  2. 建築物の所有者、管理者等は、関係法令を守ることが大切です。
  3. 天井内に施工されている吹付けアスベスト等など、通常は露出していない状態であっても、点検の結果、居室内に飛散するおそれがある場合は、飛散防止のための措置を講じることが必要です。

参考リンク