Q&A 2 給水・給湯管理

(1) 飲用系への給水管(補給水管)への逆流防止措置について

Q:立入検査で非飲用系水槽(消防用補助水槽等)に吐水口空間がないので適切な逆流防止措置を講じることと指摘されました。逆止弁を設置すればよいのでしょうか。
A:逆止弁は、弁材料の劣化やサビ、砂などの異物が挟まると逆流防止機能が阻害されるため、逆流防止措置としては確実ではありません。給水管の逆サイフォン現象により生じる逆流事故を防止する最も確実な方法は、吐水口空間(給水口とオーバーフロー口との十分な空間)が確保されていることです。また、補給水槽を設けて飲用系統との縁を切る方法も有効です。
しかし、それにより難い場合は、減圧式逆流防止器やバキュームブレーカなどの負圧破壊性能をもった逆流防止機器を設置して、確実な逆流防止措置を講じる必要があります。
この負圧破壊性能については、水道法では「給水装置の構造及び材質の基準に関する省令(平成9年厚生省令第14号)」で示されています。
なお、設置場所等の制約から、上記の設備改善による対応が早急に取れない地下式水槽等では、当面の措置として、貯水槽と同様に、月例点検により給水管が水没していないことを確認し、点検記録を残すようにしてください。

(2) クロスコネクションについて

Q:飲用系の給水管に、冷温水配管が接続されていますが、逆止弁が設置されているのでクロスコネクションにはならないと考えてよいでしょうか。
A:逆止弁を設置しても、飲用系統と飲用以外の系統が接続していれば、クロスコネクションになります。逆止弁は、弁の劣化や異物が挟まること等によって逆流防止機能が阻害されるので、完全な逆流防止措置とはいえません。したがって、飲用系からの補給は、補給水槽を設けて間接給水とする等の逆流防止措置が必要となります。

(3) 使用頻度が極端に少ない場所に給水末端がある場合について

Q:飲用系の給水末端が地下の機械室にありますが、ほとんど使用されないため残留塩素が検出しにくく、毎日の測定にかなりの時間を費やします。その場合もこの場所で、毎日、残留塩素等の検査をするのでしょうか。
A:残留塩素は給水末端で測定することが基本的な考え方ですが、お尋ねのような状況では、便宜的にビルの利用者の使用が想定される給水栓の最も末端に近い箇所を測定箇所としても支障ありません。
なお、使用頻度の低い給水栓であっても、ビルの利用者が使用する可能性があるので、配管内の滞留水を定期的に流す等の措置も検討してください。

(4) 特定建築物以外から給水されている場合の管理について

Q:特定建築物以外の建物から水の供給を受けて特定建築物で使用している場合、供給元である受水槽、中水プラント等の設備管理は必要でしょうか。
A:当該特定建築物と一体的な管理が行われている場合には、管理基準どおりの管理を実施するよう指導しています。
特定建築物の管理者が、全く関与できない建物から給水のみを受けている場合には、当該特定建築物の給水末端で水質管理を実施し、供給元の受水槽等の維持管理記録として、水槽の清掃や点検等の維持管理記録に関する情報を得て、衛生措置の実態を把握してください。

(5) 水道水のみを原水とする雑用水(雑用系上水)を温水洗浄便座やオストメイトのシャワー水に使用する場合について 

Q:トイレ洗浄水として、飲用系統とは異なる給水系統で水道水を使用していますが、温水洗浄便座やオストメイトのシャワー水にこの系統を使用しても良いでしょうか。
A:温水洗浄便座やオストメイトのシャワー水の使用水は、建築物衛生法施行規則第3条の19に規定する人の生活の用に供する水に該当するため、水道法第4条に規定する水質基準に適合している必要があります。したがって、この系統の水を、トイレ洗浄水だけでなく温水洗浄便座やオストメイトのシャワー水にも使用する場合は、飲用系統と同等の管理(受水槽清掃、水質検査等)が必要となります。

(6) 直結栓の残留塩素濃度の低下の原因について

Q:ビルへ引き込む水道水の残留塩素濃度が低いように感じます。水道の汚染は考えられませんが原因は何でしょうか。
A:東京都水道局では、「おいしさに関する目標」として、残留塩素濃度を0.1 mg/L以上0.4 mg/L以下とするよう低減化対策に取り組んでいます。市町村部の非統合水道においても、同様の取組みが行われることも予想されるので、注意が必要です。
水道法上は、上水道の給水末端で0.1 mg/Lの遊離残留塩素濃度が確保できていれば適法ですが、ビルによっては、受水槽等の有効容量が過大なために残留塩素が消失する懸念があります。使用水量に見合った適切な有効容量となるよう留意してください。
水道局では、都内131箇所の自動水質計器により日々の水質をチェックし、朝9時の残留塩素濃度のデータを毎日ホームページでお知らせしています。都内においてはほぼ0.5 mg/L以下となっています。

(7)給湯設備の維持管理について

Q:給湯設備がある場合、どのような維持管理が必要でしょうか。
A:中央式給湯設備については、飲料水と同等の水質検査を実施するよう規定されています。中央式ではない給湯設備には水質検査に関する規定がありません。
また、中央式、局所式に限らず貯湯槽を有している場合には、飲用貯水槽と同様の清掃・点検を実施するよう規定されています。レジオネラ属菌等による汚染防止の観点から適切な維持管理が求められています。
中央式給湯設備は、機械室等に加熱装置を設け、配管で必要な場所に給湯する設備のことで、貯湯槽がない場合で循環しているものや、場合によっては、循環式でなく一方通行のものも含まれます。

(8) 貯湯槽のない循環式給湯設備について

Q:中央式給湯設備のうち、貯湯槽のない循環式の給湯設備にはどんな設備がありますか。
A:中央式給湯設備には、貯湯槽を設け循環する方式だけでなく、貯湯槽がなくプレート式等の熱交換器を介して加熱し循環する方式や、循環ポンプや膨張タンク等を内蔵したガス給湯器のユニットによる即時給湯システムも含まれます。

(9) 局所式給湯設備の維持管理について

Q:各階の給湯室等に局所式給湯設備を設置していますが、維持管理基準の規定はあるのでしょうか。
A:局所式給湯設備で貯湯槽を有している場合には、飲用の貯水槽と同様の清掃と点検を実施する必要があります。設備の構造上清掃が難しい場合、メーカーの取扱説明書に従い維持管理を行ってください。
なお、局所式給湯設備の水質検査の実施は規定されていません。

(10) 中央式給湯設備の日常の水質検査について

Q:中央式給湯設備で温度を55℃以上に設定していますが、末端にやけど防止のための安全装置が入っており、水道水が混合されるため末端の温度が40℃以上になりません。この状態で残留塩素濃度を測定しても良いのでしょうか。
A:中央式給湯設備は遊離残留塩素濃度が0.1 mg/L以上確保できない場合、その系統から55℃以上の熱湯が供給される必要があります。混合栓での残留塩素濃度の測定は、水道水が混ざり給湯水の残留塩素濃度や温度が判別できず、この検査の目的に適っていません。
したがって、水質検査の際は、水道水側のバルブを閉め、混合水栓から給湯水のみが出るようにして検査する必要があります。

(11) 中央式給湯設備を冬期のみ使用している場合について

Q:中央式給湯設備を冬期のみ使用している場合、水質検査は必要でしょうか。
A:使用前に貯湯槽の清掃とフラッシング(高温殺菌又は配管等の化学洗浄等をいう。)を実施し、16項目の水質検査を給湯の使用期間中であるおおむね1月から3月までの間に行ってください。
なお、冬期以外の季節に加熱装置を停止している場合でも、給水栓より飲料水が供給される場合は、通常の飲料水と同様の検査や維持管理が必要になります。

(12) 給湯水のレジオネラ属菌の検査について

Q:給湯水についてレジオネラ属菌の検査は必要でしょうか。
A:冷却塔と同様に、給湯水のレジオネラ属菌の検査に関する法令上の規定はありませんが、厚生労働省の「建築物における維持管理マニュアル」に基づき維持管理を行い、日常管理の効果を確認する目的で検査することは有効と考えられます。

Q&Aへ戻る 特定建築物の衛生情報へ戻る

東京都環境放射線測定サイト 東京都感染症情報センター 東京都健康安全研究センターサイト
(このホームページの問い合わせ先)
tmiph<at>section.metro.tokyo.jp
※<at>を@に置き換えてご利用ください。
また、個別にお答えしかねる場合も
ありますので、ご了承ください。
東京都健康安全研究センター 〒169-0073 東京都新宿区百人町三丁目24番1号 電話:03-3363-3231
Copyright (C) 2011~ Tokyo Metropolitan Institute of Public Health. All Rights Reserved.