ビルピット対策について
令和4年1月20日更新
 

ビルピットによる悪臭の防止対策について

 ビルの排水槽(ビルピット)にたまった排水が腐敗すると「硫化水素」などの物質が発生し、悪臭の原因になります。そこで、東京都は、このような悪臭を防止して、住みよい街づくりをするために、昭和61年10月、「建築物における排水槽等の構造、維持管理等に関する指導要綱」(ビルピット対策指導要綱)を定め、ビルピットによる悪臭防止対策について指導しています。
 ビルの所有者、管理者及び設計・施工者の皆様には、この要綱に基づく適切な措置を講じていただき、悪臭のない街づくりにご協力をお願いいたします。

ビルピット臭気対策マニュアル

 関係部署向けに、ビルピット臭気の問題に対応するための知識、手順等をまとめた「ビルピット臭気対策マニュアル」を作成しています。

 ビルピット臭気対策マニュアル(環境局リンク)

 


目次


ビルピットの悪臭とは?

ビルピットの実態

 近年、区部においては、土地の高度利用から建築物の高層化、地下化が進むとともに、地下排水槽を有しているビルの建設が急増しています。悪臭発生原因の調査は困難な場合が多いですが、都民から寄せられた悪臭に関する苦情及び問い合わせによれば、ビル排水槽が原因と考えられるケースが増えています。

悪臭発生のメカニズム

 昭和59年度に行ったビル排水槽実態調査では、次のことがわかりました。

  • 悪臭の原因は、排水が腐敗して発生する「硫化水素」などの物質によるものです。
  • 悪臭は、ビルの排水が下水管にくみ上げられる際に、付近の雨水ますや汚水ますから発生します。
  • 排水槽の容量が必要以上に大きい場合は、排水の槽内滞留時間が長くなり、貯留排水の腐敗が進行します。
  • 排水槽の底部が平面(フラット)であったり、排水ポンプの吸い込み口が高い位置にある場合は、常に排水残量があるため、汚泥などの沈でん物や浮遊汚泥(スカム)などがたまりやすくなります。
  • トイレの汚水と厨房などの雑排水が、1つの槽に貯留されている場合は、悪臭がさらに強くなります。

 

排水槽で発生した硫化水素はビル付近の汚水ます等の悪臭の原因になります

ビルピット対策指導要綱のあらまし

 ビル排水槽による悪臭発生を防止するため、構造、附帯設備、維持管理などについての基準を次のように定めています。

構造基準

  • 排水槽の容量、実高などの算定基準や材質を示したこと。
  • 排水調整槽や悪臭発生のおそれがある排水槽へのばっ気・撹拌併設装置(※)などの設置を定めたこと。
    (※)「ばっ気・撹拌併設装置」とは、ばっ気及び撹拌の機能を持った装置、あるいはばっ気装置と撹拌装置の両方を設置している状態を指す。

維持管理基準

  • 排水槽と附帯設備の清掃回数及び清掃方法を示したこと。
  • 排水槽と附帯設備の定期点検など、設備の維持管理を義務付けたこと。
  • 排水の槽内滞留時間をおおむね2時間以内と定めたこと。
  • 排水槽と附帯設備の定期点検を義務付けるとともに、点検、清掃、補修などの記録を保管するように定めたこと。

汚泥等の処理

 排水槽などの種別ごとに、発生する汚泥等の廃棄物の区分を示し、ビルの所有者、管理者の義務と都の役割を明らかにし、それぞれ適正な処理を義務付けたこと。

臭気の指針

 排水槽の管理について、硫化水素濃度による臭気の指針値を定め、目安を示したこと。

 

排水槽などの構造基準

既設排水槽の改善

 既に設置されている排水槽等で、悪臭発生のおそれがあるものについては、次のとおり改善してください。

  • 排水ポンプの運転は、水位(レベル)制御、時間(タイマー)制御の併用方式とすること。
  • 排水槽に異物や油脂分が流入しないように、阻集器を設置すること
  • ばっ気・撹拌併設装置又は排水用補助ポンプを設置すること(排水調整槽を含む)
  • 排水槽等は、臭気の漏れない構造とすること
  • 排水槽の構造、容量の改善を可能な限りすること
  • 滞留のおそれのある部分については、側壁の隅角部に有効なハンチを設けること排水槽にかくはん装置、ばっ気装置又は排水用補助ポンプを設置するなどの改善をしましょう床面に傾斜のある排水槽にもかくはん装置、ばっ気装置又は排水用補助ポンプを設置しましょう

 

排水槽の標準構造

 新たに排水槽等を設置する場合は、次のとおり設置してください。

  • 排水槽の有効容量は、下式により算出する範囲以内とすること
  • 汚水槽と雑排水槽は各々分離した槽とすること
  • 排水槽に異物や油脂分が流入しないように、阻集器を設置すること
  • 排水槽等は、臭気の漏れない構造とすること
  • 排水ポンプの運転は、水位制御と時間制御の併用方式とすること
  • 排水調整槽には、ばっ気・撹拌併設装置を設けること
  • 滞留のおそれのある部分については、側壁の隅各部に有効なハンチを設けること排水槽の標準構造図

 

 排水槽の有効容量 = 当該排水槽に流入する1日平均排水量(m3)/建築物の地階部分(当該排水槽に排水を流入させている部分に限る。)への1日当たりの給水時間(時間)× 2.0~2.5

 

清掃・維持管理の基準

清掃の基準

 排水槽やその附帯設備の清掃時には、点検を行うとともに、槽底や壁面、附帯設備などに付着した汚泥、スカムなどを完全に除去してください。排水槽等の清掃は、下表の清掃頻度のとおり実施してください。なお、排水槽の構造や流入する排水の水質などから、悪臭発生のおそれがある場合は、清掃回数を増やしてください。

作業時の酸欠事故防止のため、槽内換気にご注意ください

清掃頻度
排水槽 4か月ごとに1回以上
阻集器 7日ごとに1回以上(捕集物の除去は使用日ごと)
排水管・通気管 必要に応じて内部の異物を除去すること

維持・管理の基準

 排水槽とその附帯設備の点検は、下表の点検項目について定期的に行い、各設備の機能が正常に働くよう、維持管理をしてください。

定期点検項目
排水槽等の種類 点検項目
排水槽
  • 浮遊物及び沈でん物の状況
  • 壁面等の損傷、き裂及びさびの発生状況
  • マンホールの密閉状況
  • 害虫の発生状況
  • 悪臭の有無
満減水警報装置
  • 作動状況
  • 電極棒の汚れの状況及び取付け状況
フロートスイッチ又は電極式制御装置
  • 作動状況
  • 電極棒の汚れの状況及び取付け状況
タイマー 作動状況
排水ポンプ 揚水量
フート弁 作動状況
排水管及び通気管 損傷、さび、腐食、詰まり及び漏れの有無
防虫網 損傷、さび、腐食、詰まりの有無
阻集器 沈でん物量、浮遊物量及び詰まりの状況
トラップ
  • 封水深
  • 沈でん物量及びスケールの有無
  • 悪臭の有無
ばっ気・撹拌併設装置又は排水用補助ポンプ 作動状況
点検頻度
排水槽 月ごとに1回以上
阻集器 使用日ごと
排水管・通気管 月に1回以上

 日常の排水設備の運転管理では、排水の槽内滞留時間がおおむね2時間以内であるようにタイマーを設定するなど、貯留水の腐敗防止に御注意ください。特に、夜間の長時間滞留を避けるようにしてください。なお、排水調整槽については、下水道管理者の指示に従ってください。

記録の保管

 清掃、点検及び整備に関する書類を作成し、5年間保管してください。(点検に関する様式例:健康安全研究センター建築物監視指導課作成)

 

汚泥などの処理

廃棄物の区分

 排水槽などの清掃の際発生する汚泥等の廃棄物(ビルピット汚泥等)は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(略称 廃棄物処理法)により次のように区分されています。

ビルピット汚泥の区分
区分 内容
一般廃棄物 汚水槽、合併槽などの清掃の際発生するし尿混じりの汚泥等
産業廃棄物 雑排水槽、グリース阻集器などの清掃の際発生するし尿を含んでいない汚泥等

処理方法

 一般廃棄物、産業廃棄物の区分によって処理方法が異なっています。なお、ビルピット汚泥等を不法投棄すると、廃棄物処理法に基づく処罰を受けることがあります。

廃棄物の委託先
区分 処理委託先
一般廃棄物 一般廃棄物処理業者が区市町村の処理施設(し尿処理施設等)に搬入することができます。
産業廃棄物 脱水や焼却などの処理を産業廃棄物処理業者(収集運搬、処分)にそれぞれ委託してください。

処理の委託

 ビルの所有者等は、汚泥等の処理を委託する際、下記の事項に従ってください。

廃棄物区分ごとの注意点
一般廃棄物について 一般廃棄物の処理については、各区市町村の清掃担当部署に連絡し、その指示に従ってください
産業廃棄物について
  • 産業廃棄物の処理を委託する場合は、廃棄物処理法に規定する委託基準に従い、運搬については収集運搬業者と、処分については処分業者と、それぞれ書面による契約を結んでください
  • 汚泥等を引き渡す時には、産業廃棄物管理票(マニフェスト)に必要事項等を記載し、収集運搬業者に渡してください
  • マニフェストの写しの返送により最終処分まで適切に行われたことを確認してください。なお、マニフェストの写しは5年間保存してください

 

臭気の指針値

 排水槽に貯留する汚水又は雑排水を排除しようとする場合は、次の指針値に適合するよう努めてください。

臭気の指針値
公共汚水ますなどの内部空気に含まれる硫化水素 10 ppm以下
排水1リットル中に含まれる硫化水素 2 mg/L以下

問合せ先

排水槽に関する問合せ先
相談内容 部署 電話
建築基準法に基づく、排水槽の設置・構造についての問い合わせ先 都市整備局市街地建築部建築企画課 03-5388-3349

排水槽等の清掃や点検、補修など維持管理に関すること (特別区内延床面積10,000㎡を超える特定建築物)

東京都健康安全研究センター広域監視部建築物監視指導課 03-5937-1062
排水槽等の清掃時に発生した産業廃棄物の処理に関すること 一般廃棄物について ごみに関するお問い合わせ(東京都環境局のページへのリンクです)
産業廃棄物について

① 23区・島しょ
環境局資源循環推進部産業廃棄物対策課

② 多摩地域
多摩環境事務所廃棄物対策課

① 
03-5388-3589


042-528-2694

排水槽等の悪臭に関する法・条例等の規制に関すること 環境局環境改善部大気保全課 03-5388-3482
公共下水道及び排水設備等に関すること 下水道局施設管理部排水設備課 03-5320-6583
下水道局各下水道事務所お客さまサービス課

 

東京都環境放射線測定サイト 東京都感染症情報センター 東京都健康安全研究センターサイト
(このホームページの問い合わせ先)
tmiph<at>section.metro.tokyo.jp
※<at>を@に置き換えてご利用ください。
また、個別にお答えしかねる場合も
ありますので、ご了承ください。
東京都健康安全研究センター 〒169-0073 東京都新宿区百人町三丁目24番1号 電話:03-3363-3231
Copyright (C) 2011~ Tokyo Metropolitan Institute of Public Health. All Rights Reserved.