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(7)バリデーション

【はじめに】

「バリデーションについて一言で説明してください。」
こうやってすぐに一言でわかりやすく説明するのはとても難しいものです。
概念、あるいはイメージがつきにくいかもしれません。
GMP省令の中でも特にわかりにくい内容です。
省令での説明は次のようになっています。

「構造設備や手順、工程が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることによって、目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造できることを目的とする。」

わかるようで、わかりにくいですから、単純に言葉を言い換えてみます。
(この言い換えが適切かどうかは難しいところですが、イメージをつかむきっかけとして参考にしてください。)

その製造設備や製造方法を用いれば、均質な製品ができるようにするために、

使おうとする製造設備が、
 目的とする医薬品を製造するのに、最適な設備であることを科学的に保証すること。
行おうとする製造方法が、
 目的とする医薬品を製造するのに、最適な条件であることを科学的に保証すること。

例えば100個製造した医薬品のうちから1個を抜き取り検査して合格になったとしても、他の残り99個が同等に合格だというにはどうしたらいいでしょう?

逆説的ですが、全製造段階で均質に製造できることが科学的に保証されていれば、抜き取り検査でも全体が同等に合格といえるのではないでしょうか。


【食べ物でたとえます】

いくつかあるバリデーションの種類の中で、一つの具体例で説明します。
いきなり医薬品の製造方法の話になってもわかりにくいので、また食べ物で例えます。

給食で配られるスープをイメージしてください。
スープの中には、じゃがいも・にんじん・たまねぎ・大豆・牛肉が入っています。
給食当番がみんなに給食を配ります。
例えば、こんなこと、あったら困りませんか?
 (1)「私のところはにんじんしか入ってない!」
    「ボクのスープは牛肉がごろごろ入っているぞ!」
 (2)「何だか具が十分に煮えていない。」

こんなことのないように、どうすればいいでしょう。
 (1)スープを入れるときには良くかき混ぜる。
  ⇒どのくらい、かき混ぜれば均一になるのだろう?
 (2)材料がきちんと煮えるようにする。
  ⇒どうすれば、きちんと熱がとおるのだろう?


【医薬品に当てはめます】

ここまでは、大体イメージができましたか?
同じことを医薬品の製造段階に当てはめてみます。

ある機械で、5種類の医薬品原料を混ぜ加熱する作業を行うと仮定しましょう。
この作業で注意すべき点を、先ほどの給食の例に当てはめると次のようになります。

(1)スープを入れるときには良くかき混ぜる。
  ⇒製造機械に原料を入れた後、均等に5種類の原料が混ざっていること。
(2)材料がきちんと煮えるようにする。
  ⇒必要な時間、必要な温度で加熱をすること。

こうしたことをクリアするために、考慮すべき点はいくつかあるでしょう。

機械をどのように動かすか?
機械を動かすときの温度や時間など動作条件はどうするか? 等
⇒これを踏まえ、製造機械のいろいろな設定条件を考えます。
 ⇒そして、実施計画を立て、文書化します。
  ⇒計画どおり実施し、結果を記録します。
   ⇒結果を解析します。解析の結果、この製造作業を行うのに一番良い条件がわかります。

この一連の流れによって、
「目的とする医薬品を製造するのに最適な条件」が「科学的に保証」されたといえます。

【その他のバリデーション】

医薬品の製造工程について例を挙げましたが、バリデーションはそれだけではありません。
空調、製造用水、洗浄、計測機器などについてもこうした検証を行います。
基本的なものとしていくつか例を挙げます。

冷蔵庫・冷凍庫の例:設定した温度になるか?冷蔵庫や冷凍庫の棚の上下・左右によって、温度のバラつきはないか?最高温度・最低温度・平均温度は許容基準内か?など、適切な保管条件であることを実証します。

計測機器の例:例えば30℃という温度を測定しなくてはいけないときに、その温度計は確実かつ正確に30℃を示している保証はありますか?基準となる標準温度計を使って校正することで実証します。これは、バリデーションの中のキャリブレーションと呼ばれます。

洗浄の例:製造設備を洗浄するときなど、確実に洗浄されているのか?洗浄剤が残っていないか?清潔さを実証するために行います。

バリデーションを行うタイミングや趣旨によって、いろいろな名前がついており、それはバリデーション基準に示されています。


【まとめ】

バリデーションの説明のはじめに、次のような説明を書きました。
 行おうとする製造方法が、目的とする医薬品を製造するのに、最適な条件であることを保証すること。
これを踏まえ、もう一度まとめます。

最初に「その医薬品の品質に影響する要因は何か?」を考えます。

次に「計画をたて、実施」します。
「どのような目的で、何を測定し、どのような効果を期待するのか。」を考えながら。

得られたデータに対して、
「どの条件が理想的か。」
「どの程度データのバラツキが許されるか。」
「データのバラツキは、いつも大体同じ程度か。」
など、様々な角度から検討を加えて、科学的根拠や科学的妥当性を保証した作業条件を決定します。

各段階で、文書化、記録化が必要です。


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健康安全研究センター広域監視部薬事監視指導課