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(3)必要な文書類

これまでのGMP概念の説明の中で、どのような書類が必要なのか概要を簡単に示しました。
それぞれ、各文書のイメージをつかむためにもう少し具体的に説明しましょう。
なお、こちらでは省令や施行通知のすべてを載せてはありません。
実際には必ず省令や施行通知などを参照してください。

製造管理基準書
衛生管理基準書
品質管理基準書
製品標準書
製造所からの出荷の管理手順書
変更管理手順書
逸脱管理手順書
品質等に関する情報及び品質不良等の処理手順書
回収処理手順書
自己点検手順書
教育訓練手順書
文書及び記録の管理手順書
バリデーション手順書

製造管理基準書
 不良医薬品にならないような作業をすること、あるいはロットが違っても、品質はいつでも同じものを作ること。こうした製造に関するルールを決めたのが製造管理基準書です。
 製造部門の基本となる書類です。正しい製造作業を行っていると証明するためにも、こうしたルール作りが必要です。

【製造管理基準書では例えばこうしたことを決めている】
 原料を量ったり、混ぜたりする作業、定められた指図書に従ってやりましょう。
 作業をしたら、「ちゃんと作業をした証拠」として、記録に残しましょう。
 製造に必要な器具は定められた方法で点検しましょう。
 試験検査合格前後の製品を区別して保管しましょう。
 製品は保管条件を守って保管しましょう(温度・湿度など)。
 勝手に誰もが製造室に入らないようなルールを決めましょう。
 製造管理がきちんと行われていることを品質部門へ報告します。

衛生管理基準書
 これまで、「衛生的に」「汚染を防ぐ」という言葉が出てきました。構造設備からこうした対策をとるだけでなく、作業員が日常的に行う作業や業務により対策をとることも必要です。こうした作業や業務のルールを決めたのが、衛生管理基準書です。
 清潔な医薬品を作っていると証明するためにも、こうしたルール作りが必要です。

【衛生管理基準書では例えばこうしたことを決めている】
 掃除の頻度と手順を基準書で定められた方法で行いましょう。
 それを確認して、記録に残しましょう。
 従業員の作業着への着替えや手洗いを定められた方法で行いましょう。
 従業員の健康状態を把握しましょう(健康状態が悪い状況で医薬品の製造をするのはN.G.。)。
 衛生管理がきちんと行われていることを品質部門へ報告します。

品質管理基準書
 品質管理、つまり品質を管理するということは、納品された原料が医薬品を製造するにふさわしいものか確かめたり、試薬や試験器具の管理をきちんとしたり、製品が必要な品質を保っているか確かめたりすることです。こうした品質管理のルールを決めたのが、品質管理基準書です。
 薬事法の目的の中には「品質・有効性・安全性の確保」という言葉が出てきます。製造所で作っている医薬品の「品質・有効性・安全性」を証明するためにも、こうしたルール作りが必要です。

【品質管理基準書では例えばこうしたことを決めている】
 試験検査の手順や判定の手順を定められた方法で行いましょう。
 試験結果は記録に残しましょう。
 試験器具の点検・校正の頻度や手順を定められた方法で行いましょう。
 試薬の保管方法を定めましょう。
 製造部門から報告された内容を確認しましょう。
 試験検査結果を製造部門に報告しましょう。
 (輸入したものは)外国製造所がGMPに適合しているか確認しましょう。
 (輸入したものは)外国製造所での試験結果を確認しましょう。

製品標準書
 個々の製品の詳細な情報を定めたもので、製品ごとに作成する必要があります。
 医薬品を購入すると、添付文書がついてきます。医薬品製造所はそれ以外に製造ノウハウなどの詳しい情報を持っています。どのように製造作業するのかを示す製造方法であったり、出来上がった医薬品に必要な試験検査の詳細であったり、どのような表示資材・容器を使うのかということであったり。
 そうした、各製品の個別詳細情報を定めたものが製品標準書です。

製造所からの出荷の管理手順書
 製造所から、医薬品を出荷していいかどうか判定するときの決まりごとや、出荷するときの方法に関すること。

 出荷可否判定は、品質部門の指定された者が行います。
 製造記録や試験記録など、医薬品を製造する際に作成した記録類をすべて最終的に確認し、「これは出荷してよい製品です。」と判定することになります。この判定された情報が製造販売業者に報告されます。
 出荷可否の判定は重要ですから、このルールをあらかじめ定めておくのが製造所からの出荷の管理手順書です。

(この手順書は「製造業」で行う出荷可否判定を定めたものです。製造業での出荷可否判定の後で、製造販売業で市場への出荷可否判定を行うというルートが前提となりますので、「製造業」のルールで定めた出荷可否判定と、「製造販売業」のルールで定めた市場への出荷可否判定とを混同しないように注意してください。)

変更管理手順書
 製造作業の工程で今までとは異なる変更を行うときなどに関すること (例えば、製造場所や製造器具、製造方法の変更など。)。


 作業の効率化を図るためなどの理由で、現場の担当者が製造手順を変更したり、試験検査の一部を省略したりすることはないでしょうか。知らない間に変更がなされてしまうことのないよう、変更の手順をはっきりしておく必要があります。
 まず、変更が行われることによってその医薬品にどんな影響があるのか?これを判断することから始まります。影響の大小によって、その後対応する内容は違ってくるでしょう。小さな変更なら、手順書を一部かえるだけでいいかもしれません。大きな変更なら、バリデーションが必要になったり、承認書の内容を一部変えたりする必要があるかもしれません。変更の内容によっては、従業員の教育訓練が必要になることもあります。
 そうした、変更を行うときのルールをあらかじめ定めておくのが変更管理手順書になります。

逸脱管理手順書
 製造作業中に決まった作業ルールから外れた作業をしてしまったとき等の対応に関すること。

 定められた製造手順から外れた作業をしてしまった場合、その製品の品質に対する影響はどうなるでしょうか。あるいは試験検査で不合格になったとしたら、それは製造工程にミスがあったのか、試験方法にミスがあったのかどちらなのでしょうか。
 重大な逸脱の場合、製品への影響を調べて、状況によっては回収などの対応をしなくてはなりません。そこまでではなかったにしても、決まりごとから外れてしまったとき、それぞれの内容に応じて対応を考えたり、同じようなことが起こらないよう手順を変えたりといった処理が必要になります。
 そうしたときの処理手順書が逸脱管理手順書です。

品質等に関する情報及び品質不良等の処理手順書
 品質に関して情報が寄せられたときの対応に関すること。

 ユーザーからの情報は宝です。
 小さな苦情があるかもしれません。回収が必要になる情報があるかもしれません。あるいは、製品の改良につながる情報があるかもしれません。
 そうした情報をどのように吸い上げ、何が原因だったかをどのように調査し、どのように処理するのかというルールを決めておくのが、品質に関する情報及び品質不良等の処理手順書です。

回収処理手順書
 品質不良などで回収が起こったときに、どういう対応が必要かということ。

 回収に関する行政への報告など、基本的な業務は原則的に製造販売業者が行います。しかし、製造業者でも製造販売業者の指示に従って回収品を保管するなどの作業が発生する場合があります。
 回収となった時点で、どうしようとためらったり慌てたりしている余裕はありません。品質不良の内容によっては、患者さんに健康被害の起こる可能性があるわけで、少しでも早く対応することが大切です。
 回収の原因が自分の製造所に起因する場合は、詳しい社内調査が必要になります。
 スムーズな対応を進めるためにも回収処理の手順を決めておく必要があります。それが回収処理手順書です。

自己点検手順書
 定期的に自分自身を見直す、自己点検に関すること。

 自己点検は、GMPでいう「見直し」にもつながるので、とても大切なものです。
 自分自身のことを点検するのは難しいものです。ですから、自己点検は、点検を受ける部署の業務についていない第三者が行うことが理想です。
 例えば、○か×かをつけるというとき。何を見ればいいのか、どこまでできていれば○で、どこが駄目だと△や×になるのか、誰に報告して誰が改善作業をするのか。
 こうしたことなどを決めるのが、自己点検手順書です。

教育訓練手順書
 製造所で働く従業員に対する教育訓練に関すること。

 医薬品を作るのは、ただ「モノ」を作るのとは違います。そうはいっても、日常の作業を行っているだけではなかなか実感しにくいかもしれません。
 教育訓練をしっかりやらないと、GMPで決めたルールが守られない可能性も出てきます。どれだけGMPを守ることが大切か、教えてもらわなくてはなかなかわからないものです。
 一度言っただけでは難しいでしょうから、定期的に繰り返して教育することが必要となり、それを記録に残します。
 思いつきで教育訓練を行うのではなく、いつ、誰を対象にどんな内容を教育するのか、計画的に行う必要があります。
 計画的に教育訓練を行うことや、その結果を記録に残すことなどを決めるのが、教育訓練手順書です。

文書及び記録の管理手順書
 GMPで使用する文書や記録の作成や改訂、保管等の管理に関すること。

 前半部分の説明の中で、GMPでは文書や記録が大切ということを説明しました。
 手順書等を作るときや改訂するときには、決まったルールに基づいて行わなくてはなりません。誰が承認するのか、どこに配布するのか、どこに保管するのか、改訂前の文書はどうするのかなど、決めておくべきルールはたくさんあります。
 また、文書や記録は保管しなくてはならない期間が決まっています。
 そうしたルールを決めるのが、文書及び記録の管理手順書です。

バリデーション手順書
 前半部分でバリデーションの概要を説明しました。
 品質管理の項目で、「品質・有効性・安全性」を確保するということを述べました。バリデーションも同じく「品質・有効性・安全性」を確保するための非常に大切な手段です。
 バリデーションの種類によって実施するタイミングを決めたり、バリデーションを行うときには計画書を作成したり、結果を報告し、内容を評価して承認を受けたりすることを決める必要があります。
 それを決めるのが、バリデーション手順書です。


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健康安全研究センター広域監視部薬事監視指導課