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東京都健康安全研究センター
研究年報 第57号(2006)和文要旨

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V 生体影響に関する調査研究

58 ICR マウスにおける難燃剤テトラブロモビスフェノールA 2週間投与の影響
多田 幸恵,藤谷 知子,小縣 昭夫,上村 尚
プラスチック難燃剤テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)をオリーブオイルに懸濁させ,0(対照群),350,700 及び1,400 mg/kg体重の投与用量,10 mL/kg体重の投与液量で,1日1回14日間,ICR雄マウスに胃ゾンデを用いて強制経口投与し,血液・血清生化学及び病理学的に検索した.その結果,投与群で血清総コレステロール及び肝臓重量の増加が認められた.主要臓器の組織観察では,投与群の肝臓に肝細胞の腫脹,炎症細胞の浸潤及び肝細胞の巣状壊死が多く認められた.
テトラブロモビスフェノールA,難燃剤,マウス,肝臓,脂質代謝,総コレステロール
東京健安研セ年報 57,351-355,2006
 
59 ICRマウスによる難燃剤テトラブロモビスフェノールAの未成熟動物子宮肥大試験
多田 幸恵,矢野 範男,高橋 博,湯澤 勝廣,安藤 弘,久保 喜一,長澤 明道,小縣 昭夫,上村 尚
プラスチック難燃剤テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し,0,5,50及び500 mg/kg体重の投与用量で,17日齢(実験1)あるいは20日齢(実験2)のICRマウスに,1日1回3日間,背部皮下投与し子宮肥大試験を行った.実験1,実験2とも,投与群のマウスで子宮重量の有意な増加及び組織学的な変化は認められず,TBBPAの子宮肥大作用は確認されなかった. ICR マウス未成熟動物による子宮肥大試験の投与開始日齢は17ないし18日が適当である.
テトラブロモビスフェノールA,難燃剤,子宮肥大試験,未成熟げっ歯類,マウス
東京健安研セ年報 57,357-360,2006
 
60 難燃剤テトラブロモビスフェノールAの胎盤通過と母乳への分泌
藤谷 知子,多田 幸恵,高橋 博,矢野 範男,安藤 弘,久保 喜一,湯澤 勝廣,長澤 明道,小縣 昭夫,上村 尚
臭素化難燃剤テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)は,広く環境,野生生物,人血漿からも検出され,直接の曝露あるいは食物連鎖による摂取が示唆されている.経口投与後1,3,6,12,および24時間のTBBPAの生体内分布を,妊娠10日目,妊娠16日目,あるいは,出産後10日目のマウスで調べた.妊娠10日目の胚仔,羊水とその他の受胎産物,妊娠16日目の胎仔,羊水,胎盤と羊膜,出産後10日目の仔の肝臓,腎臓と胃の内容物,およびそれぞれの母体の血液,肝臓,腎臓と脳から,TBBPAが検出された.これらの臓器中あるいは体液中のTBBPA濃度は,投与後1から6時間で最高に達し,投与後24時間には,おおむね低下した.母体の肝臓と腎臓,妊娠10日目の受胎産物,妊娠16日目の胎仔と羊水,および,出産後10日目の仔の胃の内容物におけるTBBPA濃度は,母体血液中より高かった.特に,母体肝臓中のTBBPA濃度は,他の臓器に比べて著しく高かった.この結果は,TBBPAの摂取が,母体肝臓,胚子,胎児および乳児におよぼす影響を検討する必要を示唆している.
テトラブロモビスフェノールA,生体内分布,胎盤通過,母乳への分泌,マウス,臭素化難燃剤
東京健安研セ年報 57,361-365,2006
 
61 難燃剤テトラブロモビスフェノールA とその抱合体の生体内分布
藤谷 知子,多田 幸恵,高橋 博,矢野 範男,安藤 弘,久保 喜一,湯澤 勝廣,長澤 明道,小縣 昭夫,上村 尚
臭素化難燃剤テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)は広く環境中に検出され,単回経口投与後の胎盤通過や母乳への分泌がマウスにおいて確認された.混餌(100,1,000あるいは10,000 ppm)投与のマウスにおける,TBBPAとその抱合体の生体内分布を,妊娠10日目,妊娠16日目および出産10日目に調べた.free-TBBPAは,主に10,000 ppm群の母体の血液,肝臓と腎臓,妊娠10日目の胚仔,羊水とその他の受胎産物,妊娠16日目の胎仔,羊水,胎盤と羊膜,出産後10日目の仔の胃の内容物から,検出された.母体の肝臓と,仔の胃の内容物におけるfree-TBBPA濃度は,母体血中濃度より高く,最低濃度の餌を摂取した母体でも検出された.出産後10 日目の仔の肝臓および腎臓には,free-TBBPAは検出されなかったが,抱合体TBBPAは検出された.母体の肝臓の総TBBPA濃度は,他の臓器や血液と比べて著しく高かった.
テトラブロロモビスフェノールA,生体内分布, 胎盤通過, 母乳への分泌,マウス,臭素化難燃剤
東京健安研セ年報 57,367-370,2006
 
62 健康被害を起こしたダイエット健康食品「天天素」の生体作用
福森 信隆,安藤 弘,久保 喜一,湯澤 勝廣,長澤 明道,高橋 博,矢野 範男,吉田 誠二,多田 幸恵,小縣 昭夫,上村 尚
ダイエットを標榜するいわゆる健康食品「天天素」で健康被害が発生した.使用が違法な医薬品や無許可医薬品が含有されていたため,実験動物を用いて生体作用を検出し,ヒトに対する影響を推察することが可能であるか検討した.マウスに「天天素」及び含まれている各医薬品成分を3日間連続経口投与し,行動や神経症状を観察すると共に体重及び摂餌量,肉眼的解剖所見,臓器重量測定,血清生化学的検査を行った.その結果,「天天素」は各医薬品成分でみられた行動及び神経症状の複合的な生体作用を示し,ヒトでの副作用症状を示唆する反応が認められた.
ダイエット健康食品,「天天素」カプセル,健康被害,生体作用,マウス
東京健安研セ年報 57,371-376,2006
 
63 ダイエット食品「天天素」の突然変異原性について
吉田 誠二,藤田 博,小縣 昭夫,上村 尚
市販健康食品である天天素清脂胶嚢及び,検出された医薬品成分のシブトラミン,フェノールフタレインの変異原性試験および哺乳動物を用いた染色体異常試験を行った.天天素清脂胶嚢のエームス試験において,復帰コロニー数の有意な増加が見られ,変異原性を示したが,シブトラミンおよびフェノールフタレインには変異原性は認められなかった.染色体試験においては,いずれも陰性の結果であり,染色体への影響はなかった.
健康食品,天天素清脂胶嚢,シブトラミン,フェノールフタレイン,エームス試験,染色体分析,チャイニーズハムスター
東京健安研セ年報 57,377-380,2006
 
64 中国製ダイエット食品から検出されたN-ニトロソフェンフルラミンの脳神経系への影響
佐藤 かな子,野中 良一,長井 二三子,小縣 昭夫,上村 尚,佐藤 毅
中国製ダイエット用健康食品の摂取後に,死亡例を含む肝障害が多発した.その健康食品中に,米国で肥満症の治療に用いられていたFenfluramine(Fen)のニトロソ誘導体であるN-Nitrosofenfluramine(N-fen)が含有していた.Fenは,セロトニン(5HT)レベルを低下させて,食欲を減退させる結果,抗肥満作用があることから,N-fenも同様の結果を期待して添加されたと考えられる.そこで我々はN-fenを合成し,食欲を減退させる効果の有無を明らかにするために脳セロトニン神経系への影響について検討した.神経伝達物質のモノアミン(ドーパミン(DA),5HT,ノルエピネフリン(NE))の再取り込み阻害と遊離促進作用について調べた.N-fenは5HTの再取り込みを阻害したが,その作用はFenの約100-1000分の1と非常に弱く,DAおよびNEの再取り込み阻害作用は,ほとんど認められなかった.又,N-fenはFenと異なり,3種類のモノアミン遊離促進作用には,ほとんど影響が無かった.これらの結果は,N-fen にはセロトニン神経線維を介した食欲抑制作用は無いことを示唆した.
N-ニトロソフェンフルラミン,フェンフルラミン,セロトニン,ドーパミン,ノルエピネフェリン,肝障害,中枢神経系,中国製ダイエット用健康食品
東京健安研セ年報 57,381-386,2006
 
65 消臭およびハウスダスト除去を目的とした噴霧型家庭用品の安全性試験
藤谷 知子,多田 幸恵,高橋 博,矢野 範男,久保 喜一,安藤 弘,湯澤 勝廣,長澤 明道,小縣 昭夫,上村 尚
家庭用の噴霧型のハウスダスト除去剤:製品Aの安全性試験を,マウス新生仔および成獣で行った.マウス新生仔に出生後0から20日まで毎日,製品Aを0(対照群)から4.0 mLを含む水溶液5 mL/kg体重を強制経口投与し,投与期間中の死亡の観察と体重測定,投与終了翌日の主要臓器の重量測定,血液学的検査,血液生化学検査を行った.製品A 2.0 mL/kg体重 以上を投与された雌雄の新生仔で,対照群と比べて,死亡率の増加,体重増加の抑制,臓器(肝臓,腎臓および脾臓)重量の低下,血中総コレステロール値の上昇が見られた.同様に成獣に21日間投与した結果は,対照群と有意な差はなかった.
ハウスダスト除去剤,毒性,マウス,新生児
東京健安研セ年報 57,387-392,2006

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IV 生活環境に関する調査研究 和文要旨
VI 公衆衛生情報に関する調査研究 和文要旨