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東京都健康安全研究センター
研究年報 第57号(2006)和文要旨

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Ⅳ 生活環境に関する調査研究

50 異臭のあった新築ビルの化学物質濃度
斎藤 育江,瀬戸 博,上村 尚
竣工直後のビルに入館した多数の職員が,異臭及び体調不良を訴えた事例に関して,室内空気濃度測定と臭覚パネルによる官能試験を行い,臭気の原因物質について解析を試みた.臭気と症状に関するアンケート調査では入館者202名の職員のうち120名から回答が得られた.異臭や体調不良を訴えたのは94名(78%)で女性では89%の高率であった.主な症状は,鼻が刺激される,目がチカチカする,喉がイガイガする,気分が悪い・胸がむかむかする等であった.館内の化学物質濃度を測定したところトルエン,エチルベンゼン,キシレン,ブタノールが高濃度で検出され,発生源は床材のビニルシートを貼り付けるのに使用された接着剤と推定された.館内10ヶ所の化学物質濃度と臭覚パネルによる官能試験を実施し,両者の関連性をみたところ,ブタノール,キシレン,エチルベンゼンと臭気レベルとの相関が高かった.これらの物質の臭覚閾値を考慮するとブタノールが異臭の原因物質と推定された.
室内空気,シックビルディング症候群,ホルムアルデヒド,揮発性有機化合物,トルエン,キシレン,ブタノール
東京健安研セ年報 57,301-305,2006
 
51 絵具から放散するホルムアルデヒド及びフェノールの分析
大貫 文,斎藤 育江,瀬戸 博,上村 尚
学校で児童らが体調不良を引き起こす原因に絵具や墨液が上げられ,調査した市販品からホルムアルデヒド及びフェノールの放散が認められた.この2物質は絵具類に防腐防かび剤として添加されているもので,ホルムアルデヒドは最大で110 µg/g,フェノールは3,460 µg/g含有されていた.これらを小学校の教室内で使用した時の空気中濃度変化を予測した結果,ホルムアルデヒドは最大で7.1 µg/m3,フェノールは12.4 µg/m3増加することが分かった.したがって,絵具の使用時には吸入暴露に注意し,換気を十分にする必要がある.
ホルムアルデヒド,フェノール,絵具,放散速度,揮発性有機 化合物,室内空気
東京健安研セ年報 57,307-311,2006
 
52 全国データによる浄水場原水・浄水の原虫汚染状況と感染リスク評価の試み
猪又 明子,保坂 三継,矢口 久美子
全国の水道原水・浄水における原虫類の調査結果を取りまとめ,浄水の感染リスク評価を試みた.全国の水道原水における原虫濃度レベルは100〜101個/10 Lであり,検査水量10〜50 Lで調査された浄水は全試料で不検出であった.検査水量2,000 Lの調査結果では,浄水中の最大濃度は101個/1,000 Lであった.クリプトスポリジウムの感染リスクを10-2/年に維持するためには,除去率2.5 log10以上の浄水処理を確実に実施するか,不活化効果の高い消毒処理の導入が必要である.
クリプトスポリジウム,ジアルジア,原水,浄水,リスク評価
東京健安研セ年報 57,313-318,2006
 
53 飲料水中ノニルフェノールの分析法の検討
小西 浩之,冨士栄 聡子,矢口 久美子,中川 順一
ノニルフェノールは水道法水質基準の要検討項目の一つにあげられている.GC/MS法で得られる異性体の13本のピークについて測定し精度の高い分析法とするため,GC 条件・抽出法の検討を行った.分離カラムはHP-5で良好な分離ができ,高圧注入法で注入圧を30 psiのときすべてのピークを0.01 ppmまで測定できた.固相カラムはPLS-3で回収率は84〜114%と良好であった.検討した分析法を用いて東京都の島しょ及び多摩地域の48地点の水道水及び水道原水中NP濃度の実態調査を行ったところ,すべての地点で定量下限値未満であった.
ノニルフェノール,ガスクロマトグラフ/質量分析計,固相抽出
東京健安研セ年報 57,319-323,2006
 
54 2000年三宅島噴火後の水道水中有害無機成分等の実態調査
小杉 有希,栃本 博,高橋 保雄,冨士栄 聡子, 小西 浩之,小輪瀬 勉,矢口 久美子
三宅島噴火後2001〜2005年の期間において,島内4ヶ所の地下水を原水とする水道水の有害無機成分を中心に調査した.Asが0.001 - 0.003 mg/L,Bが0.1 - 0.2 mg/L,2地点で高頻度に検出し,帰島時まで続いた.Seは1地点で比較的高頻度に0.001 mg/L検出した.また,SO42-を高濃度に検出した.これらの水道水は火山活動と海水侵入の影響を受けており,火山活動が低下している傾向が観察された.今後さらに火山活動が活発にならない限り水道水がヒトの健康に及ぼす影響はほとんどないと推定された.
有害無機成分,水道水,火山活動,三宅島
東京健安研セ年報 57,325-332,2006
 
55 N,N'-ビス(2,4-ジスルホベンジル)トリジン(SBT)試薬による遊泳用プール水中の二酸化塩素、亜塩素酸イオン及び残留塩素の定量
有賀 孝成,川本 厚子,青山 照江,押田 裕子,永山 敏廣
プール水中の二酸化塩素,亜塩素酸イオン及び残留塩素の定量法としてSBT試薬を用いる方法を検討した.pH5.0〜5.6の酢酸緩衝液を用いると二酸化塩素の測定において遊離塩素の妨害を受けるため,pH6.3のリン酸緩衝液を使用した.しかし,リン酸緩衝液では呈色後,吸光度が急激に低下することからSBT試薬の添加後,直ちに測定した.また,亜塩素酸イオンの測定はヨウ化カリウム溶液を添加した後に硫酸を添加すれば遊離塩素の影響を受けない.プール水を測定した結果,本法による測定値はDPD吸光光度法による測定値とよく一致した.
二酸化塩素,亜塩素酸イオン,残留塩素,トリハロメタン,DPD吸光光度法,N,N'-ビス(2,4-ジスルホベンジル)トリジン(SBT) ,遊泳用プール,プール水,水質調査
東京健安研セ年報 57,333-337,2006
 
56 東京都における大気中微小粒子(PM2.5)と浮遊粒子状物質の週平均濃度(平成17年度)
栗田 雅行,瀬戸 博
都内の5地点,青梅・立川・小平・大島・新宿において,前年度に引き続き2005年5月31日から2006年5月30日までの期間,大気中微小粒子(PM2.5) と浮遊粒子状物質(SPM)の週平均濃度を測定した.全地点における完全データ(32週分)を解析すると,PM2.5・SPMの順に,大島は13.5±4.8・23.0±9.0 µg/m3,小平は20.1±6.4・29.4±9.5 µg/m3で,残る3 地点は18-19・26-27 µg/m3と同じレベルであった.これとは別に年間の全データを得た新宿の48週の代表値は,順に18.6±6.9・27.0±9.2 µg/m3であった.PM2.5 / SPM比は,大島0.58に対し残り4地点はすべて0.7に近く,大島と他の4地点では大気汚染の特性が異なることが推察された.これらの結果は,前年度の結果とほぼ同じであった.
大気中微小粒子,浮遊粒子状物質,週平均濃度,粗大粒子
東京健安研セ年報 57,339-343,2006
 
57 地下水を原水とする専用水道における要検討項目の調査
鈴木 俊也,岡本 寛,稲葉 美佐子,宇佐美 美穂子,永山 敏廣
多摩地域の地下水を原水とする専用水道(40ヵ所)を対象に要検討項目の調査を実施した.原水から検出された項目はバリウム,モリブデン,アセトアルデヒドで,浄水からはその他に臭素化ハロ酢酸やハロアセトニトリルが検出された.浄水中の濃度は最高でもバリウム0.1 mg/L,モリブデン0.001 mg/L,臭素化ハロ酢酸0.002 mg/L,ハロアセトニトリル0.002 mg/L,アセトアルデヒド0.044 mg/Lであった.
専用水道,多摩地域,地下水,水質
東京健安研セ年報 57,345-348,2006

今号のタイトル一覧

III 食品等に関する調査研究 和文要旨
V 生体影響に関する調査研究 和文要旨