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東京都健康安全研究センター
研究年報 第54号(2003) 和文要旨

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III 食品等に関する調査研究

18 固相抽出を用いたHPLCによる食品中のグリチルリチン酸,ステビオシド及びレバウディオシドAの同時分析法
小沢 秀樹,広門 雅子,田口 信夫,小林 千種,山嶋 裕季子,斉藤 和夫
3種の天然甘味料(グリチルリチン酸(GA),ステビオシド(Stev)及びレバウディオシドA(Reb. A))の同時分析法を確立した.3種甘味料はメタノールーアンモニア水(40:60)混液で同時抽出し,C18固相抽出カートリッジでクリーンアップを行った後,NH2カラムによるHPLCで同時分析した(検出波長:GA 254 nm,Stev及びReb. A 210 nm).添加回収試験では,3種甘味料はいずれも回収率(80%以上)及びCV値(5%以下)も良好であった.本法を用いて甘草及びステビア両添加表示のある市販16食品について調査を行った.
天然甘味料,甘草,グリチルリチン酸,ステビオシド,レバウディオシドA,固相抽出,高速液体クロマトグラフィー
東京健安研セ年報 54,93-98,2003
 
19 食用油脂中のチオジプロピオン酸の分析法
中里 光男,松本 ひろ子,安田 和男
食用油脂中からの指定外酸化防止剤であるチオジプロピオン酸の分析法について検討した.食用油脂からの抽出には液液分配法を用いて試験溶液を調製したが,ゴマ油やラー油などの一部の油脂については,さらに陰イオン型カートリッジで精製を行った.HPLCによる定性及び定量はカラムにODSを用い,イオン抑制法で夾雑物を分離し,検出はUV 210 nmで行った.確認はチオジプロピオン酸をメチル化したのち,GC/MSを行い,標準品のスペクトルと比較した.本法を各種食用油脂に適用したときの回収率は92%以上であり,定量限界は試料濃度として,0.005 g/kgであった.
チオジプロピオン酸,食用油脂,酸化防止剤,シネルギスト
東京健安研セ年報 54,99-103,2003
 
20 透析法を応用した食品中の保存料の一斉分析
粕谷 陽子,松田 敏晴,中里 光男,安田 和男
未許可添加物パラオキシ安息香酸メチル及びサリチル酸を含む10種の保存料の一斉分析法を開発した.本法は抽出に80%メタノールを用いた透析法により,水蒸気蒸留法での脂質含有食品におけるパラオキシ安息香酸エステル類の低回収率を解決した点で有用であった.また,発酵食品等ではさらに,カートリッジカラムによるクリーンアップを行うことにより,一般的なHPLC条件での分析が可能となった.添加回収率は71.8~109%であり,定量限界は10 µg/gであった.本法は簡便であることから多数の試料を一括処理するのに適している.
保存料,安息香酸,ソルビン酸,デヒドロ酢酸,サリチル酸,パラオキシ安息香酸エステル類,透析,高速液体クロマトグラフィー
東京健安研セ年報 54,104-108,2003
 
21 健康食品に含まれる ginkgolic acidsの分析
中嶋 順一,安田 一郎,浜野 朋子,塩田 寛子,重岡 捨身,蓑輪 佳子,岸本 清子,守安 貴子,高橋 美佐子
イチョウ葉を素材とした健康食品は,日本では脳循環や代謝改善が期待され,広く流通している.Ginkgolic acids(GA)は,イチョウ種皮や葉に含まれる脂溶性の化合物でアレルギー作用があるといわれ,ドイツやフランスではこれを除去したイチョウ葉エキスが医薬品として用いられている.特にドイツでは,イチョウ葉エキス中のGA含量を5 ppm以下とする基準(ドイツ医薬品規格)を設定して品質の確保に努めている.GAの測定にはHPLC-MSを用いた分析方法が報告されているが,MSを用いた分析は,機器が高額であること,機器の維持管理が煩雑であるなど,日常の分析には難しいとの指摘もある.このような現状を踏まえ,GAを感度良く,しかも低コストで分析できる方法を開発する必要があると考え,GA1~5の5種類の化合物を植物から単離し,更にGAの光学的性質を利用した蛍光検出器付きHPLC(HPLC-FL)による分析方法を開発した.また本法を用いて市販製品のGA分析を試み,健康食品に含有されるGAについて考察した.
イチョウ,ギンコール酸,イチョウ葉,イチョウ葉エキス,蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ,健康食品
東京健安研セ年報 54,109-114,2003
 
22 GC/MSによる食品中のスチレンダイマー及びトリマーの分析法
鈴木 仁,田端 節子,貞升 友紀,下井 俊子,斉藤 和夫
各種食品に対応できるスチレンダイマー及びトリマーの分析法を検討した.試料をアセトン抽出後,ヘキサン転溶,脱脂,フロリジルカラムによる精製後,SIMモードのGC/MSで分析を行った.これまでの分析対象とされていなかった化合物も含めて,10種の化合物の分析が行えるようになった.本法による25 ng/g添加時の回収率はおおむね70%以上と良好な結果が得られた.定量限界は5 ng/gであった.
スチレンダイマー,スチレントリマー,食品,ガスクロマトグラフ質量分析計
東京健安研セ年報 54,115-120,2003
 
23 食品用プラスチック製品に含有される酸化防止剤の分析法
羽石 奈穂子,金子 令子,船山 惠市,荻野 周三
食品用プラスチック製品に含有される酸化防止剤10種類の分析法を検討した.試料中の 酸化防止剤に対して10倍量以上のdl-α-トコフェロ−ルを加えることにより,減圧濃縮の過程で生じる酸化防止剤の分解を抑制することが出来た.本法による定量限界は10種類の酸化防止剤において2 µg/gであり,ポリエチレン製品に添加したときの回収率はいずれの酸化防止剤も90%以上を示した.
酸化防止剤,dl-α-トコフェロ−ル,プラスチック製品,分解
東京健安研セ年報 54,121-125,2003
 
24 デュアルカラムGC-ECDによる食品中の有機塩素系農薬及びピレスロイド系農薬の一斉分析
立石 恭也,高野 伊知郎,小林 麻紀,田村 康宏,富澤 早苗,木村 奈穂子,北山 恭子,永山 敏廣,鎌田 国広
デュアルカラムGC-ECDを用いた塩素系農薬32種,ピレスロイド系農薬11種,及びその他の農薬3種について,食品中の残留農薬一斉分析についての検討を行った.農薬の抽出にはアセトン:n-ヘキサン(2:3)混液を用い,さらに酢酸エチル:n-ヘキサン(1:4)混液で抽出を行った.抽出溶液は,フロリジルミニカラムにより精製され,2つの画分に分けられた.第1画分はジエチルエーテル:n-ヘキサン(3:2)混液15 mLで,第2画分はアセトン:n-ヘキサン(1:9)混液10 mLで溶出された.溶出液は,デュアルカラムECD検出器を装着したデュアルカラムGCに注入した.46農薬についての添加回収試験は,イチゴ,トマト及びカボチャにおいて行い,その回収率は70~120%であった.この方法は,食品中の残留農薬の一斉分析について有効な方法であると考えられた.
残留農薬,一斉分析,有機塩素系農薬,ピレスロイド系農薬,デュアルカラム,固相抽出,電子捕獲検出器付ガスクロマトグラフィー,青果物
東京健安研セ年報 54,126-131,2003
 
25 多摩地域産きゅうりにおけるディルドリン検出に関する事例研究
近藤 治美,天川 映子,佐藤 寛,安田 和男,大貫 憲一,秋葉 美智子,金谷 和明
平成13年6月に地場産きゅうり1試料から残留基準値を超えるディルドリンが検出された.そこで,健康局食品医薬品安全部食品監視課,当所広域監視課,産業労働局等と連携して土壌等の調査を行った結果,土壌由来であることが判明した.14年7月に当該圃場周辺の圃場で生産されたきゅうりを調査した結果,29試料中2試料でディルドリンまたはエンドリンが残留基準値を超えて検出された.そのため,産業労働局は都内全域できゅうり及び生産土壌を調査し,ドリン剤検出圃場について作付け指導等を行った.
きゅうり,残留農薬,ディルドリン,エンドリン,多摩地域
東京健安研セ年報 54,132-135,2003
 
26 大豆加工食品からの組換え遺伝子検知法の検討
門間 公夫,中里 芙美子,松本 智行,佐藤 和恵,戸部 敞,市川 久次,松岡 猛,日野 明寛,斉藤 和夫
大豆加工食品9種(煮豆,きな粉,豆腐,生揚げ,油揚げ,納豆,みそ,調製豆乳及び干し湯葉)から感度良く組換え遺伝子を検知するためにDNAの抽出法とプライマーの検討を行った.CTAB法,PK法及びCTAB-PK法でDNAの抽出を行い,PCR法で組換え遺伝子の検知を行った.プライマーには増幅長が180 bpのプライマーCTPn-5'とEPSPSn-3'の組み合わせ並びに増幅長が513 bpのCTPn-5'とEPSP01-3' の組み合わせを用いて比較した.その結果,日常検査においてはCTAB-PK法でDNAを抽出し,プライマーCTPn-5'とEPSPSn-3'の組み合わせで組換え遺伝子の検知を行う方法が推奨された.
組換え遺伝子,抽出法,CTAB法,大豆,加工食品,豆腐
東京健安研セ年報 54,136-141,2003
 
27 食肉中に残留するアミノグリコシド系抗生物質の微生物学的検査法
草野 友子,神田 真軌,八卷 ゆみこ,平井 昭彦,鎌田 国広
食肉中に残留するアミノグリコシド系(AGs)抗生物質の微生物学的検査法について検討した.現在,残留抗生物質検査法として使用されている分別推定法はAGs抗生物質に対する検出感度が不足しており,今回設定されたゲンタマイシン等の残留基準値が検出できないために試験操作の一部改良を試みた.C18カラムからの流出液のpHを7.0に変えてからCOOHカラムに負荷することとし,COOHカラムからの溶出方法についても改良を行った.その結果,今回の改良法によりゲンタマイシン,ネオマイシンの残留基準値検出が可能であった.ストレプトマイシン,ジヒドロストレプトマイシンはCodex MRLの検出が可能であり,カナマイシンについては0.1 µg/gの検出が可能であった.
アミノグリコシド系抗生物質,食肉,微生物学的検査法,分別推定法
東京健安研セ年報 54,142-145,2003
 
28 輸入食品中の放射能濃度(第12報)    −平成14年度−
観 公子,牛山 博文,新藤 哲也,斉藤 和夫
チェルノブイリ原発事故に由来する放射能汚染食品の実態を明らかにするため,平成14年4月から平成15年3月までに都内で流通していた輸入食品等255試料について放射能汚染実態を調査した.その結果,キノコ4試料(全試料に対する検出率:1.6%)が50 Bq/kgを超え,そのうちフランス産生鮮ピエ・ド・ムトン(カノシタ)から放射能濃度が暫定限度値370 Bq/kgを超えて590 Bq/kg検出された.その他フランス産生鮮シャンテレル(アンズタケの一種),イタリア産乾燥ポルチーニ(ヤマドリタケ)及びブルガリア産生鮮シャンテレルからそれぞれ240,214及び210 Bq/kg検出された.
チェルノブイリ原発事故,放射能汚染,輸入食品,調査,セシウム,キノコ,ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器
東京健安研セ年報 54,146-150,2003
 
29 都内搬入米におけるカドミウム,銅,ヒ素の含有量について(第3報)    −1999年から2002年までの試験成績の概要−
小野塚 春吉,雨宮 敬,水石 和子,小野 恭司,伊藤 弘一,眞木 俊夫
1999年度から02年度までの都内搬入米(804検体)のカドミウム濃度は,平均値0.07 ppm(範囲0.00−1.26 ppm),濃度の度数分布率は,0.1 ppm以上が21.1%,0.2 ppm以上が4.1%,0.3 ppm以上が0.7%,0.4 ppm以上が0.2%であった.東京都の米中カドミウムの基準(0.4 ppm未満)に不適合は3検体,食品衛生法に基づく基準(1.0 ppm未満)に不適合は1検体であった.銅濃度の平均値は2.34 ppm(範囲0.62−4.30 ppm),ヒ素濃度の平均値は0.17 ppm(範囲0.02−0.62 ppm)であった.
米,汚染,カドミウム,銅,ヒ素,許容基準,濃度分布,農用地汚染
東京健安研セ年報 54,151-155,2003
 
30 国産及び輸入チーズ中の保存料の実態調査結果
坂本 美穂,竹葉 和江,藤沼 賢司,鎌田 国広
 1998~2003年の間に東京都内で販売されていた国産及び輸入チーズ475検体について,保存料の実態調査を行った.使用が認められている添加物のうち,ソルビン酸が7検体から0.01~1.70 g/kgの範囲で,デヒドロ酢酸が1検体から0.07 g/kg,プロピオン酸が39検体から0.1~5.0 g/kgの範囲で検出された.ソルビン酸及びデヒドロ酢酸の検出量は,いずれも基準値以内であったが,使用表示がないものが3検体あった.また,使用が認められていない添加物のうち,安息香酸が212検体から1~65 mg/kgの範囲で,ナタマイシンが8検体から2.1~9.5 mg/kgの範囲で検出された.今回,検出されたプロピオン酸及び安息香酸は,チーズの熟成中に生成された天然成分である可能性が考えられた.
チーズ,保存料,ソルビン酸,デヒドロ酢酸,プロピオン酸,安息香酸,ナタマイシン
東京健安研セ年報 54,156-161,2003
 
31 輸入ウナギ蒲焼きから検出されたニューキノロン系合成抗菌剤について
牛山 慶子,井草 京子,神田 真軌,草野 友子,鎌田 国広
平成13年度,輸入ウナギ蒲焼き12検体について動物用抗菌剤の調査を行った結果,1検体から食品衛生法で残留基準値が設定されていないエンロフロキサシン0.11 ppmを検出した.今回の検出事例は,微生物学的試験でスクリーニングを行い,抗菌性物質が検出されたことから化学試験を実施し,HPLC及びLC/MSでエンロフロキサシンの確認ならびに定量を行った.畜水産物中の抗菌性物質検査では,微生物学的試験と理化学的試験を組み合わせて実施することにより,迅速且つ効率的な試験が行えると考える.
合成抗菌剤, ウナギ蒲焼き,エンロフロキサシン
東京健安研セ年報 54,162-164,2003
 
32 生乳中の残留有機塩素系農薬の年次推移    (1983−2002年度)
藤沼 賢司,竹葉 和江,坂本 美穂,斉藤 和夫,宮崎 奉之
1983~2002年度の20年間の都内乳処理工場より収去された生乳405試料の有機塩素系農薬の分析データをまとめ,解析した.暫定許容基準値を超えるものはなかったが,1980年代では,BHC,DDTの検出率は約70%であった.1990年代初頭以降,有機塩素系農薬の検出値,検出率は減少したが,DDTは10%前後の検出率で推移した.検出値の産地別年次推移では,東京都及び近県の千葉県,埼玉県,群馬県,栃木県のそれぞれの産地でほぼ同様の減少傾向を示した.
生乳,有機塩素系農薬,残留農薬
東京健安研セ年報 54,165-170,2003
 
33 食肉及び鶏卵中の残留有機塩素系農薬の実態調査
橋本 常生,鷺 直樹,笹本 剛生,堀井 昭三,平 公崇,舘山 優乃,垣 弘一,鎌田 国広,宮崎 奉之
豚肉,鶏肉及び鶏卵中の有機塩素系農薬の残留実態調査を実施した.豚肉20検体中15検体から,鶏肉20検体中18検体から,鶏卵30検体中23検体からp,p'-DDE,p,p'-DDT及びディルドリンが検出された.特にp,p'-DDEは検出率が高く,検出濃度は豚肉が0.001~0.006 ppm(脂肪中),鶏肉が0.001~0.012 ppm(脂肪中),鶏卵が0.0002~0.0012 ppm(全卵中)で低濃度の残留が認められた.食品衛生法の暫定的基準を超えた検体はなかったが,本調査で分析した農薬は内分泌かく乱化学物質の疑いがあるため今後も実態調査の継続が必要である.
有機塩素系農薬,残留,食肉,豚肉,鶏肉,鶏卵,内分泌かく乱化学物質,ゲル浸透クロマトグラフ,ガスクロマトグラフ/質量分析計,選択イオン検出
東京健安研セ年報 54,171-173,2003
 
34 既存添加物及び健康食品素材中の臭素量実態調査
飯田 憲司,平田 恵子,植松 洋子,鈴木 公美,内藤 義和,齋藤 哲夫,府川 克二,鎌田 国広
健康食品として用いられることの多い既存添加物及び健康食品素材計129試料について臭素量の実態調査を行った.臭素の測定は,ガスクロマトグラフ(ECD)で行った.その結果,総臭素は129試料中79試料から1 µg/g以上検出された.特に,レイシ抽出物やラカンカ抽出物からはそれぞれ680 及び570 µg/gと高濃度であった.そこで,レイシ抽出物については臭素の残留原因を追跡調査した.その結果,水系溶媒で製造される既存添加物に臭素の検出率が高いことが判明した.
臭素,既存添加物,健康食品素材,ガスクロマトグラフィー(ECD)
東京健安研セ年報 54,174-178,2003
 
35 天然添加物中の残留農薬への迅速分析法の適用
萩原 輝彦,安野 哲子,植松 洋子,樺島 順一郎,鈴木 公美,荻野 周三
厚生省通知による残留農薬迅速分析法を既存添加物27種類85検体中の有機塩素系農薬11種類の分析に適用した.また,既存添加物10種類37検体について有機リン系農薬12種類の分析にも適用を試みた.油分含量の多い試料については迅速分析法にアセトニトリルーヘキサン抽出を追加して行った.レイシ抽出物及びニンニク抽出物では測定対象にした総ての有機塩素系農薬が共存物質のため分析不能であった.調査した農薬は既存添加物から検出されず定量限界以下であった.
天然添加物,残留農薬,有機塩素系農薬,有機リン系農薬,残留農薬迅速分析法
東京健安研セ年報 54,179-182,2003
 
36 輸入農産物中の残留農薬実態調査(有機リン系及び含窒素系農薬)    −平成14年度−
田村 康宏,高野 伊知郎,小林 麻紀,富澤 早苗,木村 奈穂子,北山 恭子,永山 敏廣,鎌田 国広
2002年 4月から2003年3月に都内の市場等で購入した輸入生鮮農産物等279作物について,有機リン系農薬及び含窒素系農薬の残留実態調査を行った.その結果,24種の作物から有機リン系農薬19種類が22作物から痕跡~2.5 ppmの範囲で,また含窒素系農薬3種類が3作物から0.04~0.13 ppmの範囲でそれぞれ検出された.このうちクロルピリホスが中国産ほうれんそう3作物から食品衛生法残留基準値を超えて検出された.
残留農薬,輸入農産物,有機リン系農薬,含窒素系農薬,収穫後使用
東京健安研セ年報 54,183-188,2003
 
37 輸入農産物中の残留農薬実態調査    (有機塩素系農薬,N-メチルカーバメイト系農薬及びその他)    −平成14年度−
木村 奈穂子,高野 伊知郎,小林 麻紀,田村 康宏,富澤 早苗,立石 恭也,北山 恭子,永山 敏廣,鎌田 国広
平成14年4月から平成15年3月にかけて279の輸入農作物の残留農薬実態を調査した.有機塩素系農薬では,クロロフェナピル等4種類の殺虫剤及びキャプタン等4種類の殺菌剤が痕跡~2.9 ppm検出された.カーバメイト系では,2種類の殺虫剤が0.03~0.10 ppm検出された.ピレスロイド系では,7種類の殺虫剤が痕跡~0.67 ppm検出された.その他の農薬では,1種類の殺虫剤,3種類の殺菌剤及び1種類の除草剤が0.01~4.7 ppm検出された.検出された農薬の残留量は,日本及び原産国あるいはCODEXの残留基準値を超えるものはなかった.
残留農薬,輸入農産物,有機塩素系農薬,カーバメイト系農薬,ピレスロイド系農薬,殺虫剤,殺菌剤,除草剤,収穫後使用
東京健安研セ年報 54,189-194,2003
 
38 国内産野菜・果実類中の残留農薬実態調査−平成14年度−
富澤 早苗,高野 伊知郎,小林 麻紀,田村 康宏,立石 恭也,木村 奈穂子,北山 恭子,永山 敏廣,鎌田 国広
2002年4月から2003年3月までに都内に入荷した国内産の野菜類及び果実類26種106検体について残留農薬実態調査を行った.野菜類では有機リン系農薬,有機塩素系農薬,カーバメイト系農薬,含窒素系農薬,ピレスロイド系農薬及びその他など10種類の農薬が10種13検体から痕跡~0.23 ppm検出された(検出率:24%).有機農産物表示のばれいしょ1検体からホスチアゼートが食品衛生法における残留基準値を超えて検出された.果実類では29種類の農薬が7種28検体から痕跡~1.4 ppm検出された(検出率:54%).残留基準値を超えた検体はなかった.
残留農薬,国内産農産物,野菜,果実,有機農産物,有機リン系農薬,有機塩素系農薬,カーバメイト系農薬,含窒素系農薬,ピレスロイド系農薬
東京健安研セ年報 54,195-200,2003
 
39 中国産冷凍野菜中の残留農薬調査
佐藤 寛,天川 映子,近藤 治美,青柳 陽子,都田 路子,山田 洋子,荻原 勉,安田 和男
中国産冷凍野菜中の残留農薬調査を行った.冷凍ほうれんそう17試料のうち14試料からクロルピリホス,メタミドホス,シペルメトリンなど10種類の農薬がTr(0.001)~0.31 ppmの範囲で検出された.そのうち3試料から残留基準を超えるクロルピリホスが検出された.ほうれんそう以外の冷凍野菜については9種12試料のうち6試料からo,p'-DDT,マラチオン,ジメトエ−トなど13種の農薬が検出された.
残留農薬,中国産冷凍野菜,クロルピリホス
東京健安研セ年報 54,201-203,2003
 
40 多摩地域産日本なし中の無登録農薬調査
佐藤 寛,天川 映子,近藤 治美,青柳 陽子,都田 路子,山田 洋子,荻原 勉,安田 和男
“無登録農薬”事件の関連で多摩地域産及び他府県産の日本なし計12試料についてカプタホ−ル及びシヘキサチンの残留実態調査を行った.それらの農薬は検出されなかったが,7試料からカルバリルやフェニトロチオンなどその他の農薬8種類が検出された.また,シヘキサチン及び酸化フェンブタスズの分析にアセトニトリル抽出/ミニカラム精製による方法を適用したところ良好な結果が得られた.
残留農薬,無登録農薬,カプタホ−ル,シヘキサチン
東京健安研セ年報 54,204-207,2003
 
41 多摩地域産農産物中の残留農薬実態調査(平成13年度および14年度)
近藤 治美,天川 映子,佐藤 寛,青柳 陽子,都田 路子,山田 洋子,荻原 勉,安田 和男
多摩地域産及び他府県産農産物計159試料について,102農薬成分の残留実態調査を平成13年度及び14年度に食品指導センタ−多摩支所と連携して行った.平成13年度に多摩地域産きゅうり1試料からディルドンが残留基準値を超え0.06 ppm検出された.また平成14年度には多摩地域産サニーレタス1試料からメソミルが登録保留基準値を超え0.93 ppm検出された.これら以外では残留基準値等を超えるものはなかった.検出率を多摩地域産と他府県産で比較すると,多地域産の検出率の方が低く,この傾向は平成10年度~12年度の調査結果と同様であった.
残留農薬,多摩地域産農産物,有機リン系農薬,有機塩素系農薬,カルバメート系農薬,ピレスロイド系農薬,含窒素系農薬
東京健安研セ年報 54,208-213,2003
 
42 化学物質及び自然毒による食中毒等事件例(第20報)    −平成14年−
牛山 博文,観 公子,新藤 哲也,斉藤 和夫
平成14年に発生し原因物質の究明を行った化学性食中毒等の事例のうち,①ぬれせんべいに付着,増殖した酵母が産生した酢酸エチルによる有症苦情.②ツブ貝のテトラミンによる有症苦情.③トリカブトの誤食による食中毒.④カジキマグロのムニエル,⑤アジの開き及び⑥シイラの照り焼きのヒスタミンによる食中毒及び有症苦情3例.⑦もつ焼きそばに混入した塩化ベンザルコニウムによる有症苦情.⑧ツキヨタケの誤食による有症苦情.⑨クワズイモの誤食による食中毒.以上9事例について報告した.
化学性食中毒,酢酸エチル,テトラミン,トリカブト属,ヒスタミン,塩化ベンザルコニウム,ツキヨタケ,クワズイモ
東京健安研セ年報 54,214-219,2003
 
43 食品の苦情事例−平成14年度−
田口 信夫,小林 千種,小沢 秀樹,山嶋 裕季子,田端 節子,鈴木 仁,貞升 友紀,下井 俊子,大石 充男,石川 ふさ子,木村 圭介,安井 明子,嶋村 保洋,中島 和雄,鈴木 敬子,宮川 弘之,井部 明広,斉藤 和夫
平成14年度に食品研究科で検査した苦情事例の中から7事例について報告した.1) 食パンの中に混入していた褐色物質は,小麦粉であった.2) シーチキン缶詰から出てきたみみず様物質は,魚の血管であった.3) 「焼肉どんぶり」から出てきた物質は,紙の塊であった.4) すしから出てきたプラスチック様の薄片は,魚うろこであった.5) スティックシュガーに入っていた黒色物質は,袋のポリプロピレンが焦げたものであった.6) 「ねぎとろどん」から出てきた物質はガラスの破片であった.7) 「高菜おにぎり」から出てきたものは,魚の骨であった.
食品,苦情,異物,パン,でんぷん,血管,紙,うろこ,ガラス,骨
東京健安研セ年報 54,220-226,2003
 
44 クロロフェノール類を異臭の原因物質とした甘納豆の苦情事例
荻原 勉,近藤 治美,都田 路子,山田 洋子,青柳 陽子,佐藤 寛,天川 映子,松本 ひろ子,粕谷 陽子,中里 光男,安田 和男
甘納豆に消毒臭がするとの苦情があり,原因物質の解明を行った.GC/MSを用いて分析した結果,2,4-ジクロロフェノール,2,6-ジクロロフェノール及び2,4,6-トリクロロフェノールが検出され,異臭の原因物質はクロロフェノール類であることが判明した.保健所の調査により,当該施設では蒸気配管補修工事が行われていたことがわかった.そこで,クロロフェノール類は工事後の洗浄,乾燥が不十分だったため,シール剤などからフェノール類が配管内に溶出し,蒸気中の残留塩素と反応して生成されたものと思われる.これが製造用釜の亀裂を通して,甘納豆を汚染したものと推定された.
甘納豆,苦情,クロロフェノール類
東京健安研セ年報 54,227-230,2003
 
45 東京都多摩地域における食品の苦情事例(第2報)
粕谷 陽子,松本 ひろ子,松田 敏晴,中里 光男,安田 和男
東京都多摩地域の保健所から持ち込まれる苦情検体の数は平成12年度に急激な増加をみせたが,平成13年度以降も高いレベルを維持している.その内容は相変わらず異物の苦情が多いが,食品の変色や変質に関する苦情も目立った.今回は平成13及び14年度に受け付けた苦情検体の中から「缶入りレモンティーの褐変」,「豚肉の着色」,「大判焼きの変色」及び「挽肉そぼろ中の金属片」の計4件を選び,その原因の解明と異物の同定に至る経過について報告した.
食品の苦情,異物,食品の変色,食品の変質,豚肉,大判焼,缶入り紅茶飲料,ハンダ,泡立て器,アミノカルボニル反応
東京健安研セ年報 54,231-234,2003
 
46 ポリスチレン製カップ入り即席めんのスチレンダイマー及びトリマー量調査
金子 令子,船山 惠市,羽石 奈穂子,渡辺 悠二,荻野 周三
1999年市販のポリスチレン製カップ入り即席めん(30検体)のスチレンダイマー・トリマー量実態調査を行った.カップ含有量は平均でダイマー180 µg/g,トリマー3200 µg/gであった.めん及びスープ移行量は,平均でダイマー 0.9 ng/g,トリマー22 ng/gであった.異性体別では,トリマーの2.4.6-triphenyl-1-hexene及び4種のフェニルテトラリンが多く検出された.成型法別では低温重合成型法による製品の含有量及び移行量が少なかった.
スチレンダイマー, スチレントリマー,スチレンオリゴマー,ポリスチレン,容器,移行
東京健安研セ年報 54,235-241,2003
 
47 食品用プラスチック製品中のノニルフェノール,オクチルフェノール含有量及びその溶出量
船山 惠市,金子 令子,羽石 奈穂子,新井 英人,片岡 淳,木村 義忠,小島 隆樹,渡辺 悠二,荻野 周三
環境ホルモン作用があることが確認されているノニルフェノール(NP)及びオクチルフェノール(OP)について,食品用プラスチック製品それぞれ267試料及び153試料中の含有量を測定した.その結果,OPの含有は認められなかったが,NPは28試料から検出され,含有量は2~750 µg/gであった.また28試料の内,NPを最も溶出し易い食品疑似溶媒(n-ヘプタン)中へは6試料(PS 4,PMMA 1,PP 1)で溶出が認められた(5~650 ng/cm2).また,20%エタノール中へは3試料(6~12 ng/cm2),90°C水中へは1試料(6 ng/cm2)で溶出が認められた.
ノニルフェノール,オクチルフェノール,プラスチック,含有量,溶出試験,食品
東京健安研セ年報 54,242-246,2003
 
48 台所用品からのヒノキチオールの分析
萩野 賀世,松本 ひろ子,坂牧 成恵,中里 光男,安田 和男
「抗菌加工」表示のあった市販台所用品及び浴用品について,ヒノキチオール含有量を水蒸気蒸留による抽出とHPLCによる測定を組み合わせた分析法を用いて,調査を実施した.台所用品14検体中2検体,浴用品17検体中1検体からヒノキチオールが1~10 µg/g検出された.検出率は10%以下と極めて低く,使用されていても残留性は極めて低いものと考えられる.
ヒノキチオール,天然抗菌剤,台所用品,浴用品,水蒸気蒸留法,フォトダイオードアレイ検出器,高速液体クロマトグラフィー
東京健安研セ年報 54,247-250,2003

今号のタイトル一覧

II 医薬品等に関する調査研究 和文要旨
IV 生活環境に関する調査研究 和文要旨