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東京都立衛生研究所 研究年報 第52号(2001) 和文要旨

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I 感染症に関する調査研究

1 同時期に発生したコアグラーゼIV型黄色ブドウ球菌食中毒2事例について
柴田 幹良,柳川 義勢,新井 輝義,甲斐 明美,諸角 聖
2000年4月に東京都内でコアグラーゼIV型黄色ブドウ球菌による食中毒2事例が発生した.原因食品は,仕出し料理および仕出し弁当であった.本菌型による食中毒が稀であることに加え,発生時期もほぼ同じであったことからdiffuse outbreakの可能性を考慮し,細菌学的疫学解析を行った.両事例由来株は,いずれもエンテロトキシンA産生菌株で,うち1事例では食品残品からエンテロトキシンAが2〜16 ng/g検出された.またPFGE解析では,各事例毎でDNAパターンはそれぞれ同一であったが,2事例間では明らかに異なっており,diffuse outbreakの可能性は否定された.
黄色ブドウ球菌,ブドウ球菌食中毒,コアグラーゼ,エンテロトキシン,ポリメラーゼ連鎖反応,パルスフィールドゲル電気泳動
東京衛研年報 52,3-6,2001
 
2 循環式浴槽水からのMycobacterium aviumの検出ならびに分離株のRFLP解析の試み
下島 優香子,矢野 一好,村田 以和夫,諸角 聖
M.aviumは,エイズ患者における日和見感染,家庭用循環式浴槽水の汚染とそれに起因する皮膚感染症事例などにより,近年注目されている.今回我々は循環式浴槽水からのM.aviumの検出と,IS1245をプローブとしたRFLP法による分離株の分子疫学的解析を試みた.浴槽水39試料中,抗酸菌は10試料(うちM.aviumは4試料)から検出された.今後,循環式浴槽水中のM.aviumに対して監視強化と注意喚起が必要である.M.avium分離株及び保存株のRFLP解析ではバンド数は1-19本に分布し,本法の疫学マーカーとしての有用性が示唆された.
トリ型菌,トリ型菌群,レジオネラ属菌,浴槽水,RFLP解析,挿入配列IS1245
東京衛研年報 52,7-11,2001
 
3 東京都におけるノーウォーク様ウイルス(NLV)の遺伝子解析
佐々木 由紀子,林 志直,野口 やよい,森 功次,平田 一郎,関根 大正,諸角 聖
平成11年度の東京都内で発生した食中毒および関連事例の行政検査の中から,疫学情報が得られ,かつノーウォーク様ウイルス(以下NLVと略)が検出された61事例を対象にNLV遺伝子の解析を検討したところ,検出されたNLVの8割は,G2群の由利/95株(31%),ローズデール/93株(22%),東京/99株(16%)とメキシコ/89株(15%)の主要4サブタイプに分類された.NLVのサブタイプの出現頻度と発生時期・規模・場所・潜伏時間の発生要因との関連性は認められなかった.
ノーウォーク様ウイルス,急性胃腸炎,遺伝子の多様性
東京衛研年報 52,12-17,2001
 
4 呼吸器系感染症における起因ウイルスの検出状況について
長谷川 道弥,吉田 靖子,田部井 由紀子,長島 真美,森 功次,平田 一郎,諸角 聖
2000年11月から2001年5月までに搬入された呼吸器感染症患者臨床検体を対象とした起因ウイルスの検査に,新たに開発したRT-PCR法を導入して比較検討した.遺伝子検査ではインフルエンザウイルスが23.7%と最も多く検出され,次いでアデノウイルス(19.3%),RSウイルス(9.0%)が検出された.しかし,従来から実施しているウイルス分離試験では,インフルエンザウイルス,アデノウイルスは分離されたが,RSウイルスは生存温度条件が厳しく分離されなかった.また,インフルエンザウイルスは2月以降に多く検出されたが,アデノウイルスは検査期間を通して持続的に分離された.一方,RSウイルスは11月から1月のシーズン早期に1歳以下乳幼児の下気道炎から多く検出されるという特徴が認められた.
呼吸器感染症,インフルエンザウイルス,RSウイルス,アデノウイルス,ウイルス分離,RT-PCR
東京衛研年報 52,18-21,2001
 
5 東京都におけるデングウイルス検出状況
田部井 由紀子,吉田 靖子,長谷川 道弥,長島 真美,平田 一郎,諸角 聖
平成12年度感染症発生動向調査においてデング熱疑いの患者18名の血清を対象に,デングウイルスに対する抗体検査と病原体検査を実施したところ,デング熱患者7名が確認された.この7名は全員,東南アジア等の海外渡航歴があり,輸入感染症例であった.また,病原体が検出されなくても,血清中の中和抗体価を測定することにより,血清型別が可能であるか否かを検討したところ,デングウイルスの血清型別が可能であり,その有用性が確認された.
デング熱,デングウイルス酵素抗体法,RT-PCR法,中和抗体
東京衛研年報 52,22-25,2001
 
6 1996〜2001年におけるサケ・マス類からのアニサキスⅠ型幼虫の検出状況
鈴木 淳,村田 理恵,三宅 啓文,澤田 靖,大濱 幸恵,佃 博之,丸山 文一,諸角 聖,村田 以和夫
近年,低温・広域流通の発達によりサケ・マス類の生食を原因としたアニサキス症が増加傾向にある.1996〜2001年の5年間にわたるアニサキス寄生状況の調査から,輸入サケ・マス類において,アラスカ産の天然シロザケとベニザケではアニサキスの寄生率が90%以上であった.しかし,冷凍したものから摘出されたアニサキスは全て死滅しており,養殖したものからは全くアニサキスが検出されなかった.国産サケ・マス類においては,シロザケから92%と高率にアニサキスが検出され,さらに,アニサキスはその80〜90%が通常食する筋肉部に寄生していた.また,低真空走査型電子顕微鏡は従来必要とされた試料の臨界点乾燥などの前処理を必要としないため,アニサキスの微細形態の観察・同定を迅速に行うことが可能である.
アニサキス,アニサキス症,サケ・マス類,検出率,低真空走査型電子顕微鏡
東京衛研年報 52,26-29,2001

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VII 精度管理に関する調査研究 和文要旨
II 医薬品等に関する調査研究 和文要旨