特集
化粧品を安全に使うために






特集
化粧品を安全に使うために

2.
化粧品で起こる皮膚障害
化粧品は長期に渡って使用するものです。したがって原料や製造方法には十分に注意が払われ、基本的には安全性の高いもののはずです。しかし国民生活センターに寄せられる健康被害に関する相談のうち、化粧品・エステティックを中心とした皮膚障害が最も多く10年以上も1位を占めています。平成14年度には皮膚障害の全事例2,139件のうち化粧品・エステティックによるものが1,018件でした(消費生活年報2003)。

皮膚障害の主なものは、
1.
皮膚に付けたことにより刺激を受けて起こる刺激性接触皮膚炎
2.
アレルギー物質を含む化粧品を皮膚に付けたことにより体内に抗体がつくられ、その後に再び原因物質と接触して発症するアレルギー性接触皮膚炎
3.
皮膚に接触した物質が日光により刺激物質やアレルギー性物質に変化し、それにより引き起こされる光接触皮膚炎
があります。
例えば、アトピー性皮膚炎に化粧品等で刺激を受けることやエステティックサロンなどで皮膚の過剰手入れを行ったことによる刺激性接触皮膚炎、化粧品に含まれるプロポリスや植物成分等で起こるアレルギー性接触皮膚炎などが報告されています(化粧品の安全性等に関する調査、生活文化局平成11年)。
皮膚炎が原因で皮膚に色素が沈着し長い間消えないシミになることもあります。

3.
輸入化粧品と国産化粧品
我が国で流通している化粧品は、輸入品・国産品とを問わず日本の「化粧品基準」に基づき管理が行われています。しかし、ときとして生産国の基準に基づく製品がそのまま輸入され、流通することがあります。
表3は、並行輸入品と総輸入代理店を通した輸入品のサリチル酸分析結果です。
表3 輸入化粧品中のサリチル酸分析結果(当センター)
製品 輸入形態 分析結果※
A 化粧水 並行輸入 1.19%
総代理店 0.20%
B クリーム 並行輸入 0.92%
総代理店 0.00%
C 美容液 並行輸入 0.37%
総代理店 0.00%
我が国におけるサリチル酸の配合上限値は0.20%
我が国での上限値は0.20%ですが、並行輸入されたA化粧水では1.19%、Bクリームでは0.92%配合されていました。幸いにもこれらは販売前に回収され健康被害は起こりませんでした。しかし、実際に販売されたC美容液では、サリチル酸が0.37%配合されており、皮膚が赤くはれたり刺激を感じるという健康被害が起きました。東京都は被害報告を受けて調査し、製品は回収されました。
一口メモ:並行輸入
総輸入代理店以外の事業者が、別のルートで同じ名前の商品を輸入することをいいます。

<海外で使用の可能性のある危険な成分>
海外で作られた化粧品には、我が国で配合禁止成分に指定されている成分が含まれていることがあります。例えば、水銀、ハイドロキノンモノベンジルエーテル(HQMB)、プロカイン等です。
水銀については、平成14年に香港で美白クリームが問題となりました。クリームに含まれていた水銀により腎機能障害を起こし、入院した女性がいたことが報告されています。
HQMBは海外の美白剤に配合される可能性があります。医療用医薬品としてアザの治療に用いるHQMBは、使い方を誤ると皮膚の一部が永久に脱色されて肌色が白く抜けてしまいます。
プロカインは本来局所麻酔剤ですが、海外では抗老化作用があるとして使用されることがあるようです。しかし、プロカインは重いアレルギーを誘発することがあります。また、このアレルギーになるとヘアカラー成分のパラフェニレンジアミンや紫外線吸収剤の一部に対してもアレルギー反応を起こし易くなります。
こういった化粧品が、日本国内で販売される可能性は低いと考えられますが、海外で直接購入する等の場合には、注意が必要です。
東京都では、流通している化粧品が「化粧品基準」に適合しているかどうか様々な監視指導を行っています。都内で流通する化粧品を買い、検査を行うこともその一つです。
当センターで平成13〜15年度に試験を行った結果、成分・表示に問題があり、回収された化粧品・医薬部外品の主な事例を表4にあげました。 
表4 回収された化粧品・医薬部外品の主な事例
製品 生産国 成分 回収理由
シャンプー オランダ 塩基性青99、塩基性茶16 無表示
日本 パラベン 無表示
リンス オランダ カルモイジン、ブラックBM 許可外色素
トリートメント 米国 ホルマリン 配合禁止
ヘアスプレー 米国 ジアゾリジニルウレア 許可外防腐剤
パラベン 無表示
クリーム ルーマニア ホウ砂 上限値超過
ハンドクリーム 米国 パラベン、フェノキシエタノール 無表示
化粧水 インド パラベン 無表示
米国 イミダゾリジニルウレア 許可外防腐剤
ハンドローション 米国 DMDMヒダントイン 許可外防腐剤
パック イタリア ホルマリン 配合禁止
カルモイジン 許可外色素
香水 フランス アシッドファストレッド3G 許可外色素
歯みがき 米国 無機フッ素化合物 配合禁止
ラウロイルサルコシンナトリウム 上限値超過
入浴剤 日本 赤色2号、だいだい色205号 無表示
中華人民共和国 赤色227 号、だいだい色205号 無表示
育毛剤(医薬部外品) 米国 ニコチン酸トコフェロール 有効成分含有量不足
「許可外色素」としてリンス、パック、香水から検出されたカルモイジン、ブラックBN及びアシッドファストレッド3Gは、EU諸国では化粧品への使用が許可されていますが、我が国では許可されていません。
「無表示」のシャンプー、ヘアスプレー等から検出されたパラベン及びフェノキシエタノールは防腐剤で、化粧品に使うことは許可されていますが、表示がありませんでした。また、赤色2号、赤色227号及びだいだい色205号も化粧品に使用できる色素ですが、表示がありませんでした。
「有効成分含有量不足」の育毛剤(医薬部外品)は、有効成分であるニコチン酸トコフェロールの含有量が規定値を下回っていたため、医薬部外品における効果が不足になる恐れがありました。

1.
i.
ii.
2.
3.
海外で使用の可能性のある危険な成分
4.
i.
化粧品の全成分表示
輸入化粧品の表示
ii.
正しい使用方法
正しい保存方法
輸入化粧品を使用するときの注意

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